電話②
とある日の正午
ここは数十年前に戦争が行われてから誰にも見向きもされなくなった土地、『楽園』(パラダイス)。
その中心にある、守護者の塔という塔の最上階の一室。
「団長!戦場での治癒依頼が来ましたよー!」
勢いよく扉が開くと元気な女の子の声が響く。
「おー、そうかそうか。それで、どこの戦場なんだ?キャロ?」
団長が座る部分が回転する椅子をくるくる回転させながらキャロライナに聞いた。
「どこの戦場?・・・・・えーっとですねー」
「うん」
「えーっとー」
「おう」
「えーっとー」
「ふんふん」
「・・・・・・・・すいません、聞くの忘れました」
「・・・・・またか、・・・・またなのか、キャロさんや」
部屋に沈黙が訪れる
団長が頭を悩ませながら頭をかく。
「ごめんなさい団長。
次はちゃんと聞きますから頭をかくのは止めてください。
またハゲちゃいますよ。」
「うるせっ!ハゲちゃわないわ!ハゲたことなんて1度もないわ!ハゲたとして誰のせいだこのやろう!」
「うーん、それはたぶん団員のみんなのせいだと思うんですけどー。
それに、1ヶ月くらい前に副団長に頭を治癒してもらってたじゃないですか。」
「お前、あれはこの部屋で夜中に治癒して貰ってた時じゃないか!
お前の部屋はここから1つ下の階にある部屋なのに何でここまで登ってきてるんだ!
用事以外で登ってくるなって言ってるじゃないか!」
「だって、上の階で夜中に珍しくノックの音がしたから何が起こってるのか見たくなっちゃったんですよ。
そしたら副団長がまーたやったのかって言って団長の頭に治癒かけてるんですもん。
そんなの見ちゃうに決まってるじゃないですか。
それに治癒が終わったあとに副団長が「次はもうやめてね」って言って団長のほっぺにチューしてたじゃないですか!
浮いた話の聞かないあのびっじーんな副団長が!チューですよ!もう、これはいいもの見れたと思っ「おっまえ最後まで見てやがったなこいつ!お前の頭の記憶抜き取るぞ!」
「そんなことやったら私、魂砕かれて死んじゃうじゃないですか!止めてくださいよ!まぁ、それは置いといて、団長ならどこで戦争起こるとか起きてるとか大体把握してるから何とかなるかなーって思っちゃったんです!」
「話を置いとくなよ!まぁ確かにわかるけどさ!」
「じゃあどこで起きるんですか?」
「そりゃあ、お前さん、栄華の国マハラジャヤと死者の国カタビラの小さい争いだろう。」
「へぇー、マハラジャヤとカタビラってどっちも5強国で、結構良好な関係をきづいてたと思うんですけど、どうしてですかー?」
「そりゃあ、お前、最近マハラジャヤで有名な領主が死んだからだろうよ。随分と賢くて他よりもあそこの領地は栄えていたし領主への信頼もあった。だからあそこの領地のやつらが生き返らせたくて魂を取り戻しに行くって話なんだろうよ。それで俺達はマハラジャヤ側につくってことなんだろうよ。
どうだ?」
「ぶっぶー、残念です。正解はカタビラです!」
「なんでだよ!あそこの国は俺達のことそんなによく思ってないだろう!
て言うかお前どこの国か聞いてたんじゃないか!」
「そんな連続で依頼主聞き忘れるわけ無いじゃないですかー。
どうやらカタビラではそこの領主に恩があるとか無いとかで1度だけ生き返らせるとかでー、それで領地の人たちが収まらなくってどうしても争いは避けられないからって私たちに依頼してきたんですよー。」
「ほーん、そしたらマハラジャヤとカタビラの両方の治癒と領主の蘇生が今回の依頼内容って事かね?キャロさん?」
「ピンポーン!正解です!ついでに言うと領地の軍の人達は発見しだい拘束らしいです。今回は領地の軍が200、カタビラ軍が200なので全員で向かえば1週間くらいで終わりそうじゃないですか?」
「まぁ、そうだな。そんなもんで終わるだろ。
それじゃ3日後までに団員に準備させてね。そこから出発しよう。 カタビラだから4日あればつくだろうし場所もわかる。
それじゃあ頼んだよ。」
「はい!わっかりました!それじゃあ準備させてきます!」
キャロが団員に準備させるために団長の部屋を後にした。
「頑張れよー、俺はみんなの頑張りを応援してるからねー」
団長は24でキャロは20位です。
団長の能力は救済者で、キャロは治癒と水です
この世界での能力はラウダと呼びます。
ラウダは肉体を変化させるものから、超能力のようなものや治癒、自然を操るものなとがあります。
特殊能力とかもあって団長は治癒系よりの特殊ラウダです。