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Scene1:魔王討伐

「何のようでしょうか? 王様」


 僕は、玉座に座っている王様に対して質問する。なんで僕を呼び出したのか分からないからだ。


「おお、ミライよ。よく、ワシのもとへと参ったな」


「はい、お呼び出しになられましたので」


 自分の名前を呼ばれたので、返事をする。王様の目の前だから、目をつけられないように慎重に慎重に……顔を下げながら膝をついている今の状態じゃ、王様は見えないんだけれどね。


「お主を呼び出したのは他でもない。魔王討伐の件についてだ」


「……は?」


 その言葉にビックリした。だって……え? 魔王討伐……? 確か、僕らの天敵の魔物の王……それが魔王。魔王を討伐するために、王様は何人も何人も呼び出して、送り出したハズ……。なのに……なんで……?


「実は……先日送り出した者が、道中襲撃にあい、命を落としてしまったそうなのだ」


「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!?」


「代わりにお主に魔王討伐に行ってもらいたい」


「え、え、え!?」


 突然の事で語彙力が低下した。魔物討伐の件……僕に回ってくるなんて思いもよらなかったんだ。でも、魔王討伐には僕の友達も行ったんだぞ!? 僕なんかより剣の腕もよくて、魔法の才もあった人が!


「なんで僕なんですか!? 僕なんか周辺のスライムですら討伐したことないのに!!」


 僕の住んでいる街で、誰が戦闘に不向きかって言われたら大体皆、僕の方を指差すんだ! ある意味有名だし! それなのになんで王様は僕なんかを……!


「今、この城下町で魔王討伐に行ける男の者は、ミライ……お主しかおらんのじゃ」


「なんでですか!? ラックやアラン、イカルドとか、僕より強い人なんかいっぱいいるのに!!」


 ラックは力持ちで鍛冶屋の一人息子。人柄もよくて頼れる兄貴分なんだ。アランも男の中では、頭脳明晰、学業もトップの実力で魔法の才が優れてる凄い奴。イカルドだって槍術も、魔法も結構な腕を持つ男なんだ。皆、僕より凄い人ばっかりじゃないか!!


「僕なんかを行かせるより、確実に貢献出来るじゃないですか!!」


 僕は王様に向かって反抗をする。だっておかしいじゃないか! 僕は弱くて非力で、なんも出来なくて、人の顔色ばっか見てるやつで……。


「仕方ないだろう。彼らはワシらの国には必要な人物なのだ」


 ドクン……と心臓が跳ね上がった。それは遠回しに、僕はこの国には必要ない……そう言われてるのと変わらなかったからだ。


「僕は……僕は必要……ないんですか?」


 自分が認められてないってのは分かってる。でも、それでも……言い過ぎじゃない……? だって僕なんか……僕なんかが……!


「む……? ああ、そうだな」


 ……言葉を失った。なんにも言えなくなった。唖然としてるしかなかった。いままで生きていた中で一番、僕を叩きつけたような言葉だった。


「魔王を討伐したら考え直してやろう。出発は明朝、日が昇った時だ。その時に、この城下町にいたら即刻打ち首だ。いいな?」


 唐突な旅立ちの時間……唐突な日常の終わり……唐突な……余命宣告とも言い難い、難題。この日、僕はこの世界を呪った。

 このお話は、勇者に向いてない僕が勇者になるまでのお話。苦しくて倒れるかもしれない。厳しくて涙が枯れるかもしれない。悲しくて辛くて虚しくて、もう駄目だって思うかもしれない。それでも僕は、死にたくない。

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