029 東照凱人20
「ここが結構美味しいお店だったんだよね」
「そうか」
さて、この状況下において、おかしいところはどこかを述べよ。
まずひとつは何故こいつは俺を誘う。それこそ姉ヶ崎でいいのではないか。
2つ、この世界に対しての順応力がすごいな。時間が立ったとはいえ数ヶ月だぞ。
3つ、俺の精神が昔に戻ってきているせいか色々考え方の誤差が出てきている。
簡単にいえば歳相応に戻ってきているというところか――まあ金は歳相応以上に好きだが。
阿多野に連れてこられたのは肉屋だった。
たしかにこれは値段と比べればかなり美味いだろう。
「それで、何故俺なんだ?」
「ん? 何故って言われても。友だちと一緒にご飯食べたいと思うのは普通かなって」
「……それはそうだ」
そうか、俺は友だちと思われていたのか。とりあえずそれで納得しておこう。
「明日にはジャンクさんの所に顔を出すんだよね?」
「まあそうだな」
「後はそこまでしてあの土を調べる理由を聞いてないんだけど」
「……話してなかったか?」
「話してないよ!」
「姉ヶ崎には話したんだが」
「もしかして知らないのは私だけなのかな!」
まあ聞かれなかったしな。姉ヶ崎には直接問いただされて教えておいた。
「それじゃあ簡単に説明してやる。阿多野、お前は魔法陣を知ってるか」
「あのゲームとかでよく出る?」
「まあだいたいそれであってる。この世界にもそれが存在するわけだ」
「ほうほう」
「そしてあの村に引かれた推定の円はその魔法陣を作っていたと考えられる。その種類は知らんがな」
「でもそれと土の色を調べるのに何の関係があるのかな?」
「あれだけの大規模魔法だと人間の魔力――ここでいう人間は魔族含めてだが魔力の絶対量が不足する。その場合に使うのは魔法陣を作る土自体に魔力を込める方法と大気に混ざっている魔力を使う方法があるが――あの地域の魔力量はかなり少ない。そうなればとれるほうほうは2つだ」
「土の魔力を使うの意外に何かあるの?」
「簡単な話だ。複数人の魔力を固めて使う――ただしこの方法は少しでも魔力量等がずれた瞬間大事故に繋がるから使われんがな。それこそ儀式で生け贄を差し出して成功率は2割にも満たないとかそういう類のものだ」
「つまり、土に魔力がこめられていることを確信に変えるために調べるってことかな」
こいつの発想力と頭の回転の速さだけは眼を見張るものがあるんだよな。
「そういうことだ」




