019 東照凱人10
さて、阿多野と姉ヶ崎のテストを終えて今は飯を食っている。
俺は明日から旅を再開するわけだが、テストをやってみて昔の俺を思い出したから続きを語ってやるとしよう。
そうだな。俺が初めてこの世界にきて1カ月後の話だ――。
***
「いい加減になれてよ」
「人間そんなできてねえんだよ」
「アロハシャツサングラスだもんな。春先だったのに」
俺は人の死に触れる度に吐くような状態で1ヶ月を過ごしていたわけだ。さすがに、よくも悪くも慣れ始めて毎回というほどではないが、多人数の死に直面した場合はやはり吐くぞ、俺は。
「とりあえず、ここでしばらく装備とか技術を手に入れるのがいい」
「そうだな。ルルムちゃんの言うとおりにしてここでしばらく個人行動でいこう……凱人大丈夫か~?」
「大丈夫だ……俺は闘技場に行くから何か会ったらきてくれ」
「おう、じゃあ俺は自警団詰め所でも行くかな」
「では、わたしは師匠がいるので挨拶をしてくることにする」
この場で俺たちの最初のパーティーであるメンバーの俺、水面、ルルムは特訓をして過ごすことになるわけだ。
そして俺は闘技場にいったが――純粋な特訓じゃなくて単純に賭け事に興味があっただけだったわけだ。
ただ――俺もこの頃は迂闊だった。
「おう、そこのあんちゃん」
「ん?」
「観戦者かい? それともその腰の立派なもんを見る限り、参加者かい?」
俺は腰に聖剣をつけていた。念じて出すよりもつねに腰につけていたほうが、とっさに使えるということでの判断なわけだ。
「まあ観戦者だ……といっても、ここにきたのは最近で勝手がわからないんだけどな」
「そうか……それにしても、いい剣持ってるが体はそれにあってない気がするな。服装も見たことねえし」
「ま、まぁ……色々とあるんだよ」
「そうか、まあ初めてっつうなら一緒に見ようぜ」
よくわからんがなんで俺をそこまで観察するんだこいつは、それに“あんちゃん”って呼んでるけど俺の歳は10代前半の子供なわけだが。
その上で俺の目から見た予想年齢でこいつは20代前半かそれ以上ってところだ。
とりあえず、この日は俺はこの男と一緒に観戦や馬券的な物の買い方を知ったりしたわけだ――が、この男との出会いはこの世界の俺の重要部分を作ることとなったわけだ。
次の日の午前中、俺は闘技場へと向かって賭けなどはせずに眺めている。
ここは血で血を争うデスマッチとかじゃなくて、現実で言えばプロレス的な感じのようだ。
コスプレして戦ったりそういう遊びのマッチもよくあるらしい。
まあ、最近人の死とかろくでもないことばかり絡んでた俺からすれば、娯楽である時点でかなり助かったわけだが。
「よう、あんちゃん今日も会ったな」
「……暇なのか?」
「まあな。それよりあんちゃん、剣術興味ねえか?」
「どういうことだ?」
「あんちゃん昨日の賭けの本気度見てると、金好きと見た。金が集まる方法があるんだよ」
「……話をきかせてもらえるといいな」
正直、今思えばこの時は早まったと感じている。




