トナカイは飛べる
この事を知ってから、サンタクロースの起源を空想で探った
これから紹介する『トナカイは飛べる』は『祖父が作った伝説』の一部で、
『祖父が作った伝説』は一ハ三五年に発表されて以来、
フィンランドを代表する作品となっている。
作者ルコカリはフィンランド屈指の女性動物学者だが、空想好きな祖父から聞いた話しを、
祖父と自分の会話を交え、上手にまとめて発表したので、小説家としても知られている。
「ルコカリ、早く来なさいっトナカイが飛んだぞ!」
祖父であるリゲフが、厚いガラス窓を指先で軽く叩いた。
「分かったわ!」
甲高いその声は孫のルコカリだった。
彼女は五歳だが、体が小さいため実年齢より幼く見える。
両親はそんな二人を優しく見守っていた。
「あーあ、また見逃しちゃった。おじいちゃんばかりずるいわ。本当に飛んだの?」
彼女は祖父に、トナカイは飛べるんだ、と教えられて以来、
ずっとその場面を見たい見たいと思っていたが、
祖父に呼ばれて行くと、トナカイは既に地に足がついているか、その場から姿を消していた。
「お父さん、本当にトナカイは飛べるの?」
「もちろんさ」
「どんな感じ?」
母ルウツが口を挟んだ。
「鳥みたいに飛ぶわけじゃないのよ、強い風に乗ってるって方が合ってるかもしれないわね。
焦らなくて大丈夫よ、見る機会はこれから先もあるんだから」
「私は早く見たいのっ」
ルコカリはぴょんぴょんとそこら中を跳ね回った。
「外は雪、出られない、つまんない、つまらなーいっ」
「おい、親父。また得意の話しで、この跳びっ子を静かにしてくれ」
父トルヒは娘を抱き上げた。
「よし、よし。なら、少し早いがサンタクロースの話しをしてやろう」
「サンタのお話は全部知ってるよっサンタ大好きだもん」
彼女は、子ども騙しにも程があるわ、と大袈裟に溜息をついた。
「いーや、お前が絶対知らない話しだよ」
「ほんと?」
ルコカリは、今度は祖父に抱き上げられ、膝の上に座らされた。
「そうさ。さぁ、話してやるから静かにしてるんだぞ」
そう言ってリゲフは孫の頭を優しく撫で、話し始めた。
遥か昔からフィンランドにある特殊な場所、
カヤヤクプ山脈で吹雪に遭うと必ずと言っていい程行方不明になり、
運よく戻って来た者には何故か記憶が無い。
「全く、どういう事だろう?」
フィンランドの植物学者キオシャーは山登りが好きだったが、
連なる剣のようなカヤヤクプ山脈だけは、
どんなに低い山でも行ってはいけない、と常々言われていた。
あの山にいて無事なのは、今も昔もサンタクロースと言う仙人だけなのだ、とも。
事実、カヤヤクプ山脈の茶色い岩肌にあるものは、
つららを逆さまにしたような巨大な雪と氷の固まりばかりで、
強風に削られてできる。酸素も薄い上に、気温は氷点下である。
「自分が滑落した時は、周りに知らせなければと言うが…一人だからどうしようもないな、
サンタクロースにでも知らせるか?」
キオシャーが問題のカヤヤクプ山脈に足を踏み入れたのは、
カヤヤクプ山脈での記憶喪失者や行方不明者の謎について仮説をまとめてからだった。
雪上歩行は困難で、斜面に爪先をめり込ませるのに苦労する。
登りはまだよいが、下りが危険が伴う。
日が落ち、荒涼とした風景の中、氷を通った日光や月光を養分とするネッシグ
(氷の中にのみ生える葦のこと。外気に触れると枯れる)に実る、
イークスラズリと言う結晶を集めていると伝えられるミアバアカス
(神秘の英雄旅人)がどこからともなく姿を現した。
この結晶を使うと自然界の万物に宿る精霊と交信でき、
恐ろしい死の淵にいても、穏やかに祈りの歌を口ずさんでいるような、
清らかな魂を護れると言われる。
単なる噂と思っていた存在を目の当たりにし、得体のしれない恐怖がキオシャーを包む。
不意に、離れた場所にあった男の姿が目の前に現れた。
「学者よ、教えてくれ。これは、どうすれば増える?」
無造作にネッシグの束を突き出す彼の手は透き通り、鱗のようなものに覆われていた。
思ったより穏やかな声に、キオシャーは落ち着きを取り戻した。
「これらを摘まず、育てること」
男がキオシャーの選んだ束に顔を近付け、首を傾げた。
「む?蕾を持つものや、まだ小さい芽だな」
「摘むのを我慢して待てば、数倍に増えるのです」
「うーむ…成る程。未来を考えた、効率的な方法だ…ありがとう。
礼に願いを叶えよう。あなたと、あなたの暮らす国が、幸せであるように」
その時、自分達は夜の吹雪の中を飛んでいた。
どれだけ時間がたったのか、キオシャーは眩しい光に目を覆った。
一瞬目を閉じて開けると、そこは、家の中だった。淡く白く光る幻想的な炎…全てが冷たい。
夜空に見える星のような小さい光が至る所を飛び交っていた。
その神秘的な光景にキオシャーは圧倒された。
しばらくその光景に見取れていたが、安楽椅子に腰掛けた小太りの老人に気付くと、
自分の足が、体が、かすかに震えてるのが分かった。恐いのだろうか。
だが突き止めなければ…。この静かな場所で声を出す、と言うのは、
ひどく場違いな気がした。
だけど。
深呼吸をして、無理矢理声を紡ぎ出す。
「あなた、は…」
声が震える。
「サンタクロース…なのですか?」
赤い服を着た老人は、キオシャーに背を向けたまま立ち上がった。
その動きは、実にゆっくりだった。
「ここには、わししかいない…わしには、いつも、いつも…」
キオシャーは、老人の声を聞いて、不意に懐かしさに襲われた。
何て、穏やかで優しい声を出すのだろう。
老人は少し言葉を切って、続けた。
「夢を追い求める声が、祈りが聞こえてくる。それこそ」
くるりとこちらを向いた。
「絶え間無く、おし寄せる」
キオシャーは今までこれほど謎めいた老人を見た事が無い。
けれど。
キオシャーは俯いた。老人からは優しさと温かい空気が溢れていた。
「君は?」
「私は、キオシャー」
「君は、何故、ここへ来たのかね」
「それは…カヤヤクプ山脈のみ行方不明者が多いのは何故なのか、
また、カヤヤクプ山脈より、戻って来れた者には記憶がありません。
これらは人を喰らうと噂されている、
氷山大蛇の仕業と考えられ、これを退治する方法を探る為だ」
サンタクロースが深いため息をついた。
「彼らの多くは人に危害を与えていないよ」
サンタクロースは困った顔でキオシャーを見つめた。
さすがにサンタクロースの言葉を疑うだけの確証を持たないので、問いを発する。
「ではあなたは、この事について何か知っていませんか」
「戻れた者は、私が送り届ける事が出来たからだ。それが出来なかった者についてはな…」
何かの重たい羽音がはっきりと聞こえた。
次に大きな振動。それに続いて甲高い女の笑い声がした。
「さぁ、サンタクロース出て来い!キンス、パジルガ(雪魔)を解き放て!
サンタクロース…今日こそお前は私の僕になるんだよっっ」
キオシャーは唖然として窓の外を見つめた。
ちらりとサンタクロースの方を見ると、サンタクロースは頭を抱えている。
「あれは何です?」
「ホッホホ人間!私はお前達の言う夢魔。ネメユレーセ。
この醜い化け物は相棒のキーンスイーヴェ」
キンキン声が頭に直接響く。
「こんなに離れていて聞こえた。サンタクロース、どうすればいい?」
「君が知りたがっていた行方不明者の答えはあれだ。夢魔は人間の夢を糧にする。
人間から夢を奪う事で、安定した状態を作り出すんだ。
夢を奪われた犠牲者は最悪の場合、あれの操る雪魔に凍らされて刻まれ、
吹雪として流されてしまう。人間の敵う相手ではない」
「くっそー!」
「もう謎は解けただろう?彼女らから君を逃がそう、二度とこの山脈に足を踏み入れるな」
「くそとは結構!その怒りを大いに逃げる力にさせてもらおう」
「おぉ。おいで、ルーユ」
不意に現れたトナカイはルピマ・キーエと名乗った。
「俺は大人しいから、腹を撫でても大丈夫だぞ」
逞しいトナカイに、キオシャーは恐る恐る近付く。
「さぁ乗りな」
後ろを振り返ったキオシャーは
夢魔の放った熊や鹿や狼の形をした雪魔が追いかけて来るのを見た。
「ルピマ・キーエ。サンタクロース、彼は一体?大丈夫なのか?」
「おじいはさ。死んでなお他者を救おうとしてるミアバアカスどもの首領さ。
安心しな、おじいは強い」
そう言い、ルピマはまっすぐ走る。
「いいぞ!晴れて来た」
かすかに陽の差す空を見てキオシャーもほっとした。
「雪の中は異界のようなものですからね。あ、嵐で増雪した沢がある」
気持ちが冷静になると、夢魔への怒りが込み上げて来た。
思わずルピマに強い口調で言った。
「なぁ、あの夢魔を退治出来ないのか?」
「それにはあんたを無事に帰す計画をすこーし変更するしかあるまい」
ルピマの声は困惑気味だった。
「本気なら、夢魔の巣であるツェルスンタに忍び込んで、
連中が奪った夢を保存している杖を砕いてしまおう」
「そのようなこと、私に出来るとは信じられん」
ルピマが首を振った。
「あんたなら余裕だろ。あのミアバアカスを納得させる知識の持ち主だから」
「うむ、今に見てろ。連中に一泡拭かせてやる」
キオシャーはルピマの手綱を持つ手に力を込めた。
ツェルスンタとは、人に存在を知られておらず、
北の動物達の間で最も危険な美しい洞窟として知られていた。
ただし、洞窟内は空気が薄い。
キオシャーはルピマの背に乗ったまま、
ルピマの首につけられた鈴の中から放たれる光を頼りに、洞窟内へ進む。
しばらくして、キオシャーは息苦しさと不安を堪えながら何かの存在に気付いた。
「得体の知れない音や声があちこちから聞こえる」
「あぁ、生きている者から力を奪う霊の存在さ…夢魔共の手下。
全く、あいつらが近くにいると光が変化するからすぐ分かる」
ふと、家に残ったサンタクロースの事が浮かぶ。
夢魔との戦い(追い払い)はいつもの事だったが、
キオシャーがサンタクロースの無用な心配を減らしてくれるかもしれないと思うと、
気が少し晴れた。
「古来から伝わるケマテラ教の呪文で鎮めようかね」
ルピマは呆れたように溜息をついた。
「あんた本当に博識だな。無視してりゃいいのさ。それが最善の策だ」
「ほう?それで夢魔については?」
「異界に生きる連中の間じゃ、人間は夢魔の餌食になる事で有名なんだ。
夢魔はさ、この現実世界で人間を一人仕留めれば百年生きられると言われてる。
無防備な夢魔の子は、異界で大きな夢魔の集合体でいればとりあえずは安心だ。
実際、ミアバアカスどものようなハンターの犠牲になるのも、
こちらの世界にフラフラ紛れ込んだ大きな群れの中の、ごく一部の馬鹿にすぎないからな」
「夢魔にも子が?」
怒りの気持ちがほんの少し揺らいだ。
「ったく…あんたは気持ちが優しいんだな。だから中々名前を世に出しに行けないんだよ。
情けは捨てないと、犠牲になるのはあんたと同じ種族だ」
「お、おい変なプレッシャーを与えるな、私は異世界の住人に関しては素人なのだ」
やがてルピマは冷えた目で下を示す。
「あれがこの辺り一帯の夢魔の本体を支える中枢である杖、
アプカジュ(夢倉の意)だ。ほら、真下にある」
「!」
眼下には豊かな黒い水と歪んだ空間らしきものが広がっている。
空間を縫うように流れている水が所々で氷となり、様々な作品を作り出す。
ルピマの蹄は歪んだ空間を踏んでも飲み込まれないようだった。
不意に、キオシャーのポケットが熱くなった。
「な、何だ?急にポケットが」
ポケットを探ると菱形の結晶が一条の光を放っていた。イークスラズリだ。
いつの間に?と、キオシャーが握り締めるとある幻を見せた。
「おい、イークスラズリを捨てるなよ?ちょっと待て。どうしてそれを捨てようとする?」
「イークスラズリから、私を突き飛ばしたりする、信じられない妻の存在を感じるんだ!」
ルピマが吹き出す。
「落ち着け。イークスラズリがいつまでも気付いてくれないあんたをからかったんだよ。
今この瞬間まであんたが大事に守っているように、
奥さんがあんたを守ろうとしているんだろう。
今はその程度の幻で済んだが、悪い事を考えると、余計悪い事が本当に起こるぞ」
ルピマが続ける。
「そのイークスラズリのお陰であの杖の警戒網に触れなくて済んでるんだ。
杖にしろ魔力を秘めた物ってのは、
生まれながら破壊の恐怖から逃れる為の意志と武器を持っているもんだ」
キオシャーは肩をすくめた。
「ところで本当に、あんな場所にある杖を折れるのか?」
ルピマが答えた。
「折るのは…あの杖の意志だけさ、上手くやってあげてくれよ」
「どう言う事だ?」
「あんたはイークスラズリを操って、杖の中に埋め込んでくれ。
そうすれば杖から意志が無くなり、魔力も消える」
ルピマの声が沈んだ。
キオシャーは身を乗り出して、
手を離れ、ゆっくりと落下していくイークスラズリを見つめた。
「どうしたんだい、君は辛そうだ」
「あの杖は、夢魔の命令に従う呪いをかけられているだけだからな」
「そうだったのか…」
「イークスラズリを通して声が聞こえるはずだ。
だが話したいと言われても、あまり口をきかない方がいいぞ。
辛くなるから。…どうせ呪いを解いてくれって助けを求める相談なんだ」
杖の先端にある宝玉から、小さい球状の光が幾つか出て来た。
「杖の周りに光が浮かんで来ただろ。杖があんたに興味を持った証拠さ」
キオシャーはイークスラズリを近づけ、
すぐに埋め込む事はせず、杖に潜む人格に辛抱強く語りかけを試みた。
僅かにだが、呪いに侵されていない杖の意志が反応する。
「おいキオシャー、余計な事をするな。夢魔に気付かれた」
ある日、杖の目の前で創造主が夢魔に襲われ消失した。
恐怖で杖は心を閉ざし、夢魔の呪いとあいまって新しい意志が生まれる。
元の人格は時折覚醒したが、何が何だか知らない間に時間が過ぎていた。
キオシャーは杖の呪いを解く為、呪いをかけられていると教え、
本来の意志と違う意志が生じている事を認識させた。
途方もない渇きを癒す為に夢を求めたり、異界に夢を喰らわせる事を好む意志。
それら意志を深い眠りにつかせ、イークスラズリ内に吸い出し、封じて行った。
ルピマは杖の意志の入れ代わりを目の当たりにした。
夢を蓄える宝玉から放たれる光がイークスラズリに吸い込まれ、
虚ろになったり、色が変わった。
急に、杖の宝玉を囲むように浮かぶ円状の光の中に、また円が出来た。
「まずいぞキオシャー。急いで。もう時間がない」
キオシャーは何とか、イークスラズリを杖の宝玉の中に埋め込む事に成功した。
「最終的に、元の杖になると思う」
ルピマは冷や汗を垂らしつつ嬉しげに言った。
「そうか…そうか!よかった!さぁ帰るぞ!!」
ルピマが一目散に出口へ向かい駆け出す。
予想外のルピマの行動に、キオシャーは面食らった。
「待ってくれ、杖を置いて行くのか?誰があの子の寂しさを救うと言うんだ!
今はまだイークスラズリが呪いを浄化しているから完全に目覚められないが、
完全に目覚めたら、あの杖は今までの罪の意識で自殺してしまう!
それに、また夢魔に呪いを」
「心配するな、俺とおじいが守ってやれる。
あんたがイークスラズリを設置してくれたお陰でな。この辺りの夢魔もじきに絶える。
だが、自らの夢を制御出来ない人間に、あの杖は持たせられない。
あの杖の本来の力は、人間のあらゆる夢を集められるのは元より、
操って変化させる事も出来るからな。分かるな?」
キオシャーは渋々諦める事にした。
「…仰せのままに」
外へ出ると人間には分からない、雪魔による強い吹雪のエネルギーが満ち、
あたりに異様な臭いが立ち込めている。
キオシャーは、感覚がおかしくなってきたかもしれないと呟く。
冷たい風が吹きすさび、視界も最悪である。キオシャーもまた追手の気配を感じていた。
全速力で駆け続けていたルピマが口を開いた。
「荒っぽいやり方ですまないが、ここでお別れだ、キオシャー」
「な…ルピマ」
追手が、と言いかけて口をつぐんだ。
「見事な腕前だった。ありがとうキオシャー。
あんたが死の淵に立った時、また会おうな」
言うなりルピマは反転した。
ルピマから落ちたキオシャーは衝撃で目が眩んだが、
眩んだまま真っ白な視界の中を必死に歩いた。
生きる為に。だが、すぐに歩けなくなり、その場に突っ伏した。
「あ、あなたなの!?」
キオシャーは声の主に向かい叫んだ。
「エカミャか!?…迎えに来るの、早くないか?」
自分でも何を言ってるのか分からなくて、幻を見てるのか、と思ったが。
「何言ってるの、家の前じゃないの。それより遭難したと思ったわよ!?」
気がつくと見慣れた自宅と庭に、キオシャーはぽかんと口を開けた。
「色々あってトナカイの背中に乗って飛んでたら、
さっきちょうど吹雪とぶつかってしまってな。落ちた」
はいはいそうですか、とエカミャは夫に肩を貸す。
「遭難した人は焦って下へ下へ下ってしまう傾向があると聞いたけど…
まさか降って来るなんて、最高のプレゼントだわ」
キオシャーは妻を抱きしめながら目頭を押さえた。
「落ちた時、死んだかと思ってたんだが生きてたのか。あとは…」
その後は声にならなかった。
「とにかくキオシャー博士はめでたしめでたしだったが、
唯一帰るべき場所に帰る事が出来なかった奴がいる」
リゲフがそう言うと、ルコカリが慌てて身を乗り出した。
「誰?」
その時、窓の外から見える月をトナカイの影らしきものが幾つか過ぎり、
ルコカリは見たわ!見えたわ!と大声を上げた。
「ルジ(ルコカリの愛称)、何を見たの?」
ルコカリの声を聞いて不審そうに言った母親に、娘は飛びついた。
「トナカイ?」
「そうよ!絶対そう!!」
母親は娘の頭を撫でる。
「そう、よかったわね。遅いからもう眠りなさい」