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小説になりきれない小説群  作者: ちゅうか
8/20

届かない願い

木物語り。妖精が話してくれた、おばあさんのしんみりした話し

私の部屋にはおしゃべりな妖精が時々遊びに来て、色々な話しをしてくれます。

今日は、その中で何故か心に残った話しをしましょう。

「この前ね…」

と、妖精は話始めました。

「この前、公園の花の中でうとうとしていたら、

おばあさんと男の子が近くにあったベンチに座ったの。

それからおばあさんが自分の不思議な体験を孫に話しているのを聞いていたわ。

おばあさんがとっても小さい頃ね…近所に同じ歳の方がいなくて、

仕方ないから近くの山に一人で遊びに行っていたのですって。

山には楽しい事がたくさんあったから、ちっとも寂しくなかったそうよ。

でね、ここからがすごいの!おばあさんはね、昔は木や花の言う事が分かったのですって。

私ね、おばあさんの心の中を覗いてみたの。

とても綺麗な心をしているから、嘘じゃないってわかったわ。

『私にはね、とても仲のいいミカンの木がいたんだよ』

おばあさんは懐かしそうだったわ。

『どうして木と仲良くなれたの?』

『ミカンの木はそこに一本だけだったから、きっと私と同じく寂しかったんだろうね。

私があてもなく歩いていたら

『もしもし、そこのお嬢さん。よかったら、私の根元で休憩しませんか?』

と呼び掛けてくれたのさ』

孫は真剣に聞いてたの。それからおばあさんは悲しそうな顔をしたわ。

『でもね、その場所にビルが建つ事になって…

あぁ、あの時、どうしてそんな事を思ってしまったんだろうねぇ…』

『どうしたの?』

私も思わず、男の子と同じように身を乗り出してしまったわ。

『私が学校から帰って来た時、木々の悲鳴が聞こえて、急いでかけつけると、

ミカンの木は既に他の木と一緒にトラックに積まれていたんだよ。その時ね、私に言ったの。

『私の子どもをとって、育てて』

って。でもね、私はどうしても動けなかったの。

実をとったら、トラックの運転手のおじさんに怒られるような気がしてしまってね。

『ごめん、ごめんね』

って何度も心の中で呟いて、木がトラックで運ばれて行くのをただ見ていたんだよ』

その時ね、おばあさんは軽く目を拭ったわ」

〜ブログ公開時代のコメント〜


一人ってホント寂しい事ですね。いくら近くに多くのみかんの木があったとしても、他のみかん達からそっぽ向かれて相手にしてもらえなければ、それはホント孤独と同じですもんね。おばあちゃんもきっとそんなみかんの木が自分と同じく孤独だからお話出来たのでしょう。僕にはそんな気がしました。

[ 2005/09/25 09:36 ] shoji



shojiさん、コメントありがとうございます!!な、何かとても深く読んでくださったようで…すごく嬉しいです!!

[ 2005/09/25 09:37 ] 中華

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