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総理=オレ、オレ=総理

目が覚めるとオレは椅子に座らされていた。

手足が縛られていて、目の前にはゲノムが立っていた。

「手荒な真似をしてしまい、申し訳ない。しかし、貴方は今回の依頼人の条件にぴったりなのです。」

「何なんだよ!!お前何者だ!!」

オレは言った。

ゲノムは静かに言った。

「私は、世界で只一人の人格の入れ替えに成功した科学者です。今回はある方に依頼を受け全国の高校生に同じような質問をさせて頂きました。その質問にYESで答え、一番初めに来ていただいた方と依頼人を入れ替えるということです。」

「依頼人って誰なんだよ。」

「安心してください。貴方より遥かに地位の高い人物です。今しがたご到着いたしました。」

ドアが開き、革靴の音が室内に響く。入って来たのは、高そうなスーツに身を包み、銀色のネクタイを締めた見覚えのある老人だった。

太い胴回り、充血した目、シワの刻まれた垂れ下がった顔、ワンセグで見た総理大臣だった。

「準備は整っております。石田康太郎内閣総理大臣様。貴方様がこの青年でよろしいのであれば椅子にお掛けください。」

シワだらけの顔がオレに近づく。

オレの顔と身体を舐めるように見回し低くこもって嗄れた声で言った。

「この青年で構わん。総理の任からも、老いからもワシは解放される。」

総理大臣はどっかと椅子に座った。

ゲノムは総理の手足を同じように縛り、

「では、初めます。」と言い、機械を起動させた。

ここからの記憶はない。只、

「政治を投げ出して老いからも逃げる様な人間が良く総理大臣やってられるな!お前らの勝手のな都合で……ふざけるな!!」

って叫んだことだけは覚えていた。

目が覚めると目の前にゲノムがいた。

自分の身体を見ると銀色のネクタイに高そうなスーツを着ていた。「本当に入れ替えたのかよ…狂ってる。お前狂ってるよ!!」

口から出た声は低くこもって嗄れた声だった。

「貴方はこれから総理大臣として生きて行くのですから、若者らしい口調は止めて頂きます。少々手荒ですが、仕方ありませんね。」

ゲノムはオレの、総理の口を強引に機械で開けるとカプセルを飲ませた。

「それは、年齢に合わせて口調が変化するカプセルです。脳の信号を書き換えて身体に合った口調に変化させます。強制的に。それよりまずは鏡をご覧ください。」

鏡に写ったのは、さっき見た総理大臣そのものだった。顔を触ると総理も顔を触る。

「なんと言うことだ、ワシが、このような身体になってしまうとは。」

カプセルが効果を現し口調までも総理大臣のものになった。



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