夜の犯行
気づいたら僕は殺されていた。
必死にダイイングメッセージを残そうと指を動かすが、不自然に重たく動かない。
「ちっくしょ・・・ぅ」
痛みが走りうめき声があげる。
―自分、死ぬのか?
「あぁっ・・・!」
声をあげてみるのも、余計に痛みが増すばかり。
―目が・・・体が・・・重い
自分の意思に反してまぶたが閉じていった。
目を開けるといつもの見慣れた部屋だった。
「あれ・・・?」
体を起こすと、時計は3時を指していた。外は真っ暗。ということはまだ深夜なのであろう。
「夢か・・・?」
夢にしてはあまりにもリアルすぎる。
でも、こうして自分の部屋にいるということは夢だった、と思うしかない。
自分にそう言い聞かせると、また眠りにつくためにベッドにもぐりこんだ。
ぬるり
足を動かしたとたんに、何か液体のような変な感触が伝わった。
――すごい寝汗・・・
気持ち悪いが、仕方なく、そのままほうっておくことにした。
布団にもぐりこむと、やはり「ぬるぬる」と濡れていて気持ち悪い。
「何なんだよ・・・一体」
布団をはぐと、足もとは真っ赤に染まっていた。
「血?何で・・・血が?」
ぼんやりする頭で必死に考えたが、眠気が勝ってしまい、そのままベッドに倒れこむようにして眠った。
視界がせまくなっていくなかで、最期に見たものは、不気味な笑みを浮かべている女だった。
「夢落ち」になて、それが正夢になった。ありがちな話ですよね。