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王の竜玉  作者: ito
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藍光崩壊


詮議の間は叩き起こされた官吏達やうっつらと船をこぐ兵士達がいたが、ピリリとした雰囲気を出した竜将軍が入ってきた瞬間一瞬で静まりかえった。


王はまだ来てないのか玉座は空席のままだ。さすがに歴戦の将達である将軍達は既に先ほどの情報を聞いて、皆一様に険しい顔をしている。


竜将軍が椅子に座るなり奥の扉が開き簡易の服を纏った閃が出てきた。チラリとこちらに視線を寄こしてきたが礼の形を取るために顔を伏したため気づかないふりをした。


「報告を頼む」


閃は玉座に座るなり、口を開いた。


「はっ。先刻藍光国の王の使者が参りまして友好国に助けを求めにきました。」


兵士の一人が進み出て報告するが実際の使者がおらず話をするのは不思議だ。

訝しげに竜将軍が尋ねると


「その使者は何処にいる?実際の現状を聞きたい。」


「はいえっと・・・」


言いよどむように視線を彷徨わせた兵士。


「それにつきましては私から報告があります。」


バンと音をたてて入室してきたのは藍光の姫の側近としてやって来た宰相、陽月だった。


陽月に伴って顔を蒼白にさせている紫翠姫の姿もある。

支えなければその場で倒れそうなほどうつろな表情をした紫翠。

閃の前にたった二人は臣下の礼をとって跪いた。


「先ほどの使者は既にこの世にはおりません。既に息絶えており報告は出来ません。しかしかの者の顔は知っておりました。紫翠姫が兄上紫苑しおん様でした。」


「兄・・上・・」


兄の名に反応したのか紫翠の瞳からはボロボロと涙が溢れて床に敷かれている絨毯を色濃く染めていた。


陽月は懐から書簡を出しながら


「紫苑様は命をかけて持ってきた書簡です。お目通りをお願いします。」


必死になって頭を床に擦りつけた。

その手に持つ書簡は所々が血に染まってどす黒くなっていた。

チラリと閃が視線を向けた兵がゆっくりとその書簡を持ち閃へと差し出した。


書簡の紐を解き、中に目を通す閃の動きに誰もが押し黙り王が何を言うのか期待の籠もった目で見つめていた。


それもそのはずだ。

王の側室にとやって来た王女は王の側近である竜将軍にお熱。

それなのに王自身がこの姫のために動く理由があるだろうか?

もし動いたとすれば王は何かしらこの姫に気があるのではないだろうかとも見て取れるのだ。

そうすれば今まで寵妃の神楽ばかりを寵愛していたが、他に目が向けば別の女も抱けることを意味している。王に側室として女を後宮入りさせることが可能になると言うものだ。

だが逆に動かなければ、王は同盟を反故したことになり王は約束を守らないとして叩きあげることも出来る。


そんな期待の籠もった目を受けながら閃は一通り目を通すと近くに座る竜将軍に向かってその書簡を差し出してきた。


竜将軍はすぐさま席を立ちその書簡に目を通す。


書かれてあることにただ呆然として、その真実が受け入れられなかった。


「まさか・・・。そんな・・・」


呆然と言い放った竜将軍に内容が分からない官吏達から


「何と!!何と書かれてあるのですか!!」


「内容を!!」


叫ぶように答えを求められた。



竜将軍はギュッと落ちそうになる書簡を握りしめて

ゆっくりとその口を開いた。


「・・・藍光王城・・・落城・・。藍光王夫妻・・処刑・・・。その他王位継承権を持つ者全て処刑。」


たったこれだけの言葉に一瞬でその場が静まりかえった。


そうこの日藍光国は王女紫翠姫を残して滅んだ。




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