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王の竜玉  作者: ito
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壊れだした歯車②


三つめは近衛兵隊だ。


一気にふくれあがった近衛兵隊の部下達は王都に戻り次第何らかの仕事を与えることになったが、他の部署から放り出されたような学もなく力のみのような男達が多い。与えられる仕事が少なく、何をさえようかと悩んでいると

意外なところから答えが出た。

ある日翔大から


「あの・・将軍・・す、少しだお休みをいただけないでしょうか?ほんの数日で良いのです!!お願いします!!」


土下座の勢いで頭を下げられる。


「どうかしたのか?」


荒くれ者に虐められてイヤになったのだろうかと慌てて聞くと

クリッとした瞳に涙を浮かべて


「うっ・・!!俺の・・俺の家の方で・・山火事があったみたいで、俺の妹が・・・売りに出されちまう!!!」


ウワーンと声を上げて泣き出した翔大に竜将軍も驚いた。

貧困で家族を奉仕に出す親がいると言うが、翔大の妹となるとまだ10にも満たしてない幼子かもしれない。

家族のために戦いに出てきた翔大が必死に守ろうとしている家族に何とかしてやりたいという想いからだった。

近衛兵隊の半数を翔大の村に復興隊として派遣した。

最初は何をして良いのか、手探りの状態だったが意外と活躍したのが骸羅だった。


翔大を復興部隊の大将にすると侮る者も多かった。それをカバーしたのは骸羅だった。

骸羅は兄貴気質で、翔大が皆の前で必死になって指示を出しているのを無視している者や侮っている者に対してには大きな拳骨を下し、翔大のサポートをしっかりこなして、隊からも一目置かれる存在へと変わっていった。

そして何より彼らはとても変わった。


戦いの中でしか自分の存在を認めて貰えないと思っていた者達が、復興支援した村で涙ながらの感謝を受け、照れくさそうに帰ってきた。最初は嫌がっていた奴らも時が経つにつれ率先して復興支援に向かっている。

私が指示をしなくても動き出した存在に頼もしく思え、またそれを必死にまとめようとする翔大もまた大きくなっている。

翔大の家族には竜将軍の名で礼状を書き、彼が頑張っていることを認めた。彼の家族が健やかに生活できるように多くはないが、餞別を渡した。

泣いて喜んだ彼はこれは「家宝だ!!」と言って宝箱に仕舞ってしまったことは後に彼の母親から聞いた話だ。



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