壊れだした歯車①
「はぁ~~」
大きな溜息を吐きながら寝間着から軍服へと着替える。
慣れた手つきで小振りな胸にサラシを巻き付け、苦しくない程度に結ぶ。
また一日が始まると思うと何とも気が重い。
あれから一月もの時間がたった。
たった一月かと思われるかもしれないがその中身は何とも濃いモノとなっている。
この一ヶ月で大きく変わったことは5つある。
先ず一つ目、政に再度参加するようになり、三老達や他の官吏の者達と毎日対立しては激しい舌戦を繰り広げている。
古狸の親父達はのらりくらりと
「検討の上ご報告を」
「過去の資料を読み返した後返答を」
など使い古された返答で何度ぶち切れたか定かではないが、それでも何とか権利を得て法を動かし国が少しずつ上向きに上がっていった。
また三老から無理難題を押しつけられることはあったが、根気強く応戦したところ凱長官に手直しはされたものの8割方案件を通して貰えた。
少しずつだが着実に竜将軍が認められてきているのを感じられた。
二つ目は医療方面だ。
各国との友好条件として竜将軍が提示したのは物資の流通だけではなく医療の知識の共有を必須条件として出した。薬草の使い方や新しい薬の対策など王族専用の医師だけでなく民間療法の医師にも話し合いの場に呼んで会議をするなど違った一面で国同士を友好を深めていった。
特に竜将軍の医療の技術は群を抜いており、他国の医師が弟子になりたいと乗り込んでくるほどのものであった。
快くそれを受け入れたものの日に日にその数は増えていくので、短期の人数募集で勉強会をするといった形になり、それを自国に持ち帰り皆に教えるようにという形になった。