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王の竜玉  作者: ito
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出過ぎた行い

神楽は困っていた。


閃に紫翠姫のことを知って欲しくて昼食へと呼んだ。

紫翠姫は綺麗な少女だ。溢れ出るような品格に流れるような動作。

王のそばに立つ女性と思える。


先ほどの薬草畑での一面は可愛らしい場面ではあったが、これなら王も気に入ってくださるだろうと思ったのに、閃が不機嫌なオーラをこれ以上ないほど醸し出した。

紫翠姫は顔面蒼白で今にも倒れそうなほどな状態で、護衛に付けていた虎たちは本能から早々に逃げ出してしまっている。唯一この状況下で顔色が変わらないとしたら藍光の宰相陽月ぐらいだろう。額にはうっすらと冷や汗はかいてるものの、ひょろりと立った姿は何時もと変わらない。

これ以上は紫翠姫が可哀想だと、閃を怒るとふてくされた顔をして早々に席を立ってしまった。

姫を見ると何とか気力で頑張っている姿に本当に申し訳ないと想いながら、閃が立った席を見る。

減っていない料理

何も食べずにここまま午後の執務をするのだろうか?

何かしらここの料理を持っていきたいが、震えた姫をおいていくことも出来ない。

どうしようかと困っていると


「竜将軍これにて我らは失礼します。姫これ以上竜将軍にご迷惑をかけてはいけませんよ。」


天の助けと言わんばかりに陽月が口を開いた

垂れかかっていることに気づいた紫翠姫はすぐさま体を起こしって、謝って部屋へと戻られた。まるで台風のような彼らにどっと疲れを感じたが、これで閃のもとにいけると残された料理を小振りの皿に盛り、閃のいる執務室に足を向けた。

閃はこちらに背を向けた状態で木簡を睨んでいた。

何をそんなに殺気だった目で木簡を見ているのかと思ったら、木簡は逆さを向いている。

仕事しておらずにストライキをしているようだ。

「陛下、木簡が逆さを向いております。」

神楽の声にやっと気づいたかのように慌てて木簡を正しい方に戻しながら


「これはその、新しい読み方を発見しようと・・」


「そうですか。ですが間違いがあるといけないので正しく読んでください。」


ううっと唸っている閃の前に料理を出した。

それと同時に閃のお腹からグッグーと音がした。


「食べ残しは勿体ないのでご協力いただけませんか?」


閃の機嫌を損ねないように下手に出ると


「しょうがないなぁ~」


といって箸を手に取っていた。


「陛下、紫翠姫はお嫌いですか?」


持ってきた料理が最後の一口になったときに竜将軍は口を開いた。


「・・・嫌いだ。」


最後の一口を放り込みまたブスッと頬を膨らました閃に


「何処がですか?良き方だと思いますが。王の傍に・・」

「王の傍にだと!!!私には最愛の妻がいる!!それ以上娶るつもりも、誰かを傍に置くつもりもない!!妻がおればよい!!」

「ですが、藍光の第一王女ですよ。国同士のためにも紫翠殿を・・」

「だったら藍光と戦をして滅ぼせばよい!!璉国に仇なすというのなら武力を持って制圧する!!」

「陛下は変わってしまわれたのですね。武力でしか国を押さえることが出来ないとおもっていらっしゃる。それでは国は疲弊します。友好的な方法で」

「友好的が方法があの女を妻にすることだというなら、俺は国を捨てる!!俺は妻が神楽がいるから国を守っているだけだ!!神楽のいる世界を守っているだけだ!!それ以外に俺がここで国を守る理由なんて有りはしない!!」

言い切った閃は全身で怒りを露わにしていたが、瞳だけは今にも泣きそうなほど弱っていた。

王の怒声が聞こえたのか外が慌ただしくなっている。神楽としているわけにはいかずゆっくり息を吐き出すと竜将軍の仮面を被り

「申し訳ありませんでした。出過ぎたまねをしました。」


「・・・よい。それより今日は休みのはずゆっくり休まれよ。」


「はい」


そう言って扉から出ようとすると


「・・・竜将軍、あまりあの女に近づくな・・」


風に乗って閃の声が聞こえた気がした。

振り向いても閃は執務に向かいこちらには背を向けていた。

気のせいだと思い今度こそ扉から出て行った。



19日に短編を「外伝 王の竜玉」の方でアップ予定です。そちらもお楽しみください。

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