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王の竜玉  作者: ito
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いざ虎穴の中に!!②~厄介な男~


「竜、竜将軍大変ですよ!!地震ですよ!!逃げないと!!」


敵兵達が我先にと扉から出て行った後

残された竜将軍と翔大と虎たちは壁から離れて部屋の中央部に待機していた


揺れが未だに収まらないことに翔大は膝に力が入らず倒れそうになっていた

それを何とか傍にいる虎が倒れないように支えていた


「将軍!!逃げないと!!地震ですよ!!」


ボソボソと喋りかけてくる翔大に


「大丈夫。想定内のことだ。翔大は堂々と立っておればよい。後はどうにでもなる。」


竜将軍は未だ残っている敵の将を見ていた


走り去った将達とは違い真っ向からこちらを見ている将は明らかに違っていた


(あの藤の花の紋章は・・・確か惷国の家紋だったはず・・・王族関係者か?それとも・・・)


簡素ではあるが白い軍服を纏った20代後半の男だった

軍服には惷国家紋の藤の花が刺繍されている

自国の家紋が記されるとなると王族か相当の位のある者とされている

赤毛の混じった茶色い髪に、じっとこちらの見つめる目は紅の瞳


台に肘を置き口元手両手を交差しているので顔全体は分からないが端整な顔立ちなのはよく分かる


ただ一切感情のこもらない視線に厄介だと思えた



「私の顔に何かついているだろうか?」


どちらも互いの顔を見ながら先に竜将軍が動いた


「何故仮面を?」


応えるかどうか分からなかったが上体を起こして姿勢を正した

男の声は静かに部屋の中に響いた


「人それぞれ隠したい物があるはずです。私の場合はそれが顔です。それよりもお名前をお願いします。私はすでに名乗った」


「竜がか?本当の名ではないのだろう?本当の名は?」


「王から頂いた名です。私にとってそれ以上の名はない。」


「ふぅぅーーん・・・・・。」


視線を外した男に会話は終わったかに思えた

静かになった空間で


「・・・・礼音れおん


地震で揺れる明かりとりの火を見ながら礼音と名乗った男は呟いた


「はっ?」


「だから名。名乗れと言ったから名乗った。」


「姓はないのですか?」


「何故?」


「胸元にある家紋は惷国ものでは?王族またはそれに近いものなのでは?」


「さすが・・・。でも教えない。お前が隠したように俺も隠す。」


オモチャを見つけたように笑みを浮かべる礼音にやはり厄介だと思えた

竜将軍は誰に気づかれることもなく溜息を吐いた


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