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王の竜玉  作者: ito
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奇策を用いて敵を討て!③


「これで良いだろうか?」


「足りないだろう。もっと積めよ!!」


多くの兵達が森の手前で森から採ってきた木々の枝を積んでいた

等間隔に置かれた枝の山は森を囲うかのように何十カ所も設置されていた

少し離れた場所で竜将軍と李将軍は用意されている枝を見ながら旗の流れる向きを見ている


「李将軍。あとどのくらいで風向きは変わりそうだ?」


「そこまでは分からねぇよ。これは運任せだからなぁ~。」


「そうか。なら、軍のことを任せてよいか?」


「はぁ~???どういうことだよ!?」


「運任せなら、たぶんもう間もなくだ。風は変わる。その時に枝の山に火を付けよ。火が森に飛び移らないように十分気をつけろ。私は奇襲をかける。」


「奇襲って!?一人でかよ?」


「一人じゃない。部下を連れて行く。ついてくるよな?」


足元を見るとじゃれるように虎がゴロゴロと鳴いている


「一匹は翔大の傍に置いておく。この子と行ってくる。短時間で戻るから任せるよ。」


「ちょっと待って!!そんな役目俺にでっきかよ!!おれ元海賊だぞ?お偉いさん達から見たら罪人と同じだ!誰が俺の命令聞くんだ?」


「だからお前に任せる。私が命じた。お前に命じた。意味は分かるな?」


「!!!」


軍の最高責任者が軍の指示を任せたということはその者に信頼を寄せているという意思表示である

王の信頼厚い謎の竜将軍が出会って間もない彼に信頼を示した

たとえが彼が軍の将軍職の中で最下位の位であっても最高位が信頼を寄せているとなると李将軍の地位は安定する


「任せたぞ」


ヒラリと虎に跨ると虎の脇腹を蹴った

それを合図に走り出す

李将軍は声をかける間もなくただ礼をとって見送った


それから間もなくのことだった

森から吹く風は止み、不気味な静けさが辺りを支配した


「あいつはこれを予期していたのか?」


「馬鹿な!気候を完璧に読むことなどあり得ぬ!!奴は化け物か!」


「あぁ。正に竜の化身かもしれんな。」


将軍達は竜将軍がいない中、軍議をしていた

風が止んだことに将軍達は驚き、またこれから起きることをただ待つしかなかった


「も!!申し上げます!!風が!!風が変わりました!!」


天幕を払いのけて転がるように飛び込んだ伝達兵は顔面を蒼白にしながら叫んだ


「竜将軍の命令だ!!火を付けよ!!森に飛び火せぬように気をつけろ!!」


李将軍の合図と共に火の手が上がった

黒々とあがった煙は風に流され森の中へ侵入し始める

木々は生い茂り葉によって蓋がされた煙はどんどん山伝いに上っていく

地面を這う雲はどんどん進む

山の頂上を目指して上へ上へと這っていく


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