一時の別離①
その時はまさにすぐそこまでやって来ていた
次の日の朝議の間で早馬の情報が飛び込んできた
「申し上げます!!寀駕国、惷国、源国の三カ国同盟軍が紗萄国に攻撃を仕掛け、璉国国境まで攻めてきております!!!紗萄国では多くの死者や被害が出ております。璉国の侵略も時間の問題です!!」
息も絶え絶えに話す使者に朝議の間は騒然とした
「なんと言うことだ!!3カ国同時攻撃だと!!」
「1カ国でも大変だというのに、三カ国と戦えと・・・」
「そんな余力は璉国にはないぞ・・」
官吏達はお互いに顔を見合わせ戦いの勝ち目がないことに慌てふためく
王は玉座からただそれを見つめる
どうすべきなのか、すでに答えは出ている
最も己が出したくない答えがすでにある
ギリリと握った拳の骨が鳴る
その光景を見ていた竜将軍は王が出した答えが分かっていた
カツンと靴の鳴る音が響いた
官吏達がふと、王に目を向けると
王の前に跪き両手を合わせ頭を垂れる竜将軍がいた
「陛下。ご命令を。その命令があれば全力を持ってその命に応えましょう。」
ざわついた中で竜将軍の声が響く
無表情な閃からは何の感情も読み取れはしないが、その心うちは激しかった
今のこの王都の状態はやっと回復に向かいだした状態だ
今から戦闘となると別の将軍に任せてもいいが、三カ国という大軍相手では璉国軍全軍で当たらなければいけない
それほど軍の指揮を任せられる者は王もしくはそれに並ぶ人物でなければならない
だが、王はやっと回復し始めた状況を見放すこことは出来ない
王の判決がいることが多くあり、王が戦に行けばその採決がさらに遅くなる
ならば王に並ぶ存在・・・将軍達のトップに立つ者・・・
「竜将軍・・・」
「お任せください。」
ポツリと呟く言葉に竜将軍は安心させるように口角をあげて笑みを浮かべる
王は一度目をつぶり考える
今から言う言葉は身を裂かれるより辛い言葉だ・・・
大きく息を吐き出し、目を開け
「竜将軍。全軍を率いて敵軍の進行を阻止せよ。刃向かうようなことあれば、二度と攻め入られぬようにしてやれ。」
「王命のままに」
深く頭を下げた竜将軍は立ち上がり官吏達と将軍のいる方に目を向けた
「すぐさま、戦の準備を始めよ。出立は二日後の早朝。早馬を飛ばして敵の位置に軍の規模、向かう先を知らせよ!!副官達はすぐさま行動を!将軍達は集まってくれ!!」
歩き出した竜将軍に他の将軍達も続いた
ざわついた朝議の間を抜け出し戦の準備に取りかかった