知らぬまの敵
そんな噂をよく思わない者達もいた
太陽が沈み闇が王都を包み込んだ
上級官吏達が住む住宅地で静まりかえったとある屋敷内部である部屋から光が漏れていた
真ん中に置かれた蝋燭が部屋を明るく照らす
「ちくしょ!!!何故俺があんな辺境の地に赴任なのだ!!」
大柄の男が酒の入った器を投げ捨てながら声を荒げた
それを静観するように静かに酒に口を付ける
「あの化け物がきてから!!イヤ違う!!あの男が王座に就いてからだ!!何故俺が!!!」
立ち上がった男はイライラしながら部屋の中を動き始めた
「・・・・落ち着け・・・」
「落ち着けと!!お前達はいいよな!!王宮に残れるのだからな!!はん!お前達もどうせすぐさまどこかに飛ばされるのだろうな!!ざまあみろ」
狂ったようにわめき散らす男に静観していた男達は確かに思い当たる節があるため反論できない
「にしても・・・何故化け物は王を手なずけたのだ?」
「はん!体でも使ったんだろう!!死体好みは稚児好みか!!ふざけた野郎だ!!」
「・・しかし、この頃の王の動きが大人しすぎる・・・」
「確かに、今のところあの化け物が前面に出てきて王の動きが全く分からない。」
「あの王に何が出来る!!全てあの化け物が王の権限を奪うのだ!!そしたら俺たちのしてることは全て水の泡だ!!」
「確かに。あの化け物はある意味手強い。何とか懐柔したいが全く隙を見せない。ほとんど王の傍か白の将軍の傍だ。」
「全くだ。住まいもどこか分からない以上手だてがない。ましてや何度暗殺に失敗している。」
「5回だ。毒を含んだ茶を飲ませてもピンピンしてるし、暗殺者も向かわせたが返り討ちだ。それも今じゃ化け物の下で働いている。」
「はははは!!寝首をかかれるとはまさにこのことだな!!」
「少し黙ったらどうなんだ、寀朱!!」
「黙れだと!!誰があの王を捜してきたと思う!!俺が見つけて俺が裏から王宮を乗っ取る予定だったのに!!ちくしょ!!」
「・・・今は時を待とう。あの化け物と王が離れたときこそ我々の反逆のチャンスだ!!」
「ああ何としても!!彼奴らを引きづり降ろす!!」
決意を新たに男達の話は進む
闇は全て隠し、増悪を膨らませる
王と竜将軍の知らぬ間に・・・