竜の試練~竜の智を知らしめよ~①
神楽の衣装代の削減により、竜将軍の計画道理に王都に学校が作られる事になった
学校を作るために集められた者達は戦争で怪我を負った者達が優先的に雇われた
王城に集められてその者達は最初は不平不満を言っていた。
賃金が普通の5分の3ほどにしか与えられないことや周りの者達の差別の目や人生の絶望など今まで国が助けてくれなかったのに今更何をするのだと、声をあげていた
かっかっかっかっかっ
石段を歩く音に誰もが振り返ると竜将軍が真っ直ぐに歩いてくる
怪我をしている者達の前を歩き、中央でとまって振り返った
「おはよう諸君。今から君たちには仕事をして貰う。」
そこに集まった千人を超える者達に向かって竜将軍は声を張り上げた
ただ呆然と見つめていた者達だったが沸々と怒りがこみ上げてきて
「何が仕事だ!!こんな賃金で働けるか!!」
「そうだそうだ!!ましてや俺には両腕がない!!それでどうやって働けと!!」
「俺は足が無い!!何をしろって言うんだ!!」
「こんな惨めな思いをさせるために俺たちを呼んだのかよ!!」
「ふざけるな!!官吏様達が俺たちに何をやってくれた!!戦いで傷ついてもそのまま放置!!どうやって生きていけと言うんだ!!」
暴動のようになった者達をただ静かに竜将軍は見つめた
1カ所での発言はどんどん大きくなり一人また一人と大声を上げて怒りを露わにした
その声は地面を揺らし、空気を震わせた
竜将軍の傍にいる虎ですら2,3歩後退してしまうほどの覇気に竜将軍は笑みを浮かべた
その笑みに気づいた者達が声を荒げるのを止めた
皆も何だと何だと声を静めた
「聞けぇぇぇ!!!」
一喝する声にざわついていた広場は一瞬で静かになった
「よいか!!ここに集まりし者達よ!!今までそなた達は多くの戦場で武功をあげてきただろう!だが怪我により、多くのモノを失った。そなた達はこの国にとって宝だ。この国を支えた者達だ。出来ることならまた力を貸して欲しい!!残されたそなた達の体でこの国の再建に力を貸してくれ!!残された腕や足はただの飾りではなく使って欲しい!残された頭はただ絶望だけを見つめないで欲しい!!考えよ!!残された体の一部を使って生きていくことを!!そして一人ではないことを!!皆が力を合わせこの国を根底から変える場所を作っていこう!!争いのない世界を目指し、子供達が武器を持つことのない世界を目指すために、皆の力がいる!!力を貸してくれ!!」
地響きのような衝撃であった
竜将軍が軍の最高トップが兵に向かって頭を下げた
周りから白い目で見られ世間から見向きもされなかった自分たちに真っ向から向き合って言葉を投げつけてくる竜将軍に誰一人とて声が上げられなかった
「・・・将軍・・・竜将軍!!!」
どこかで声が上がった
それに繋がるように拍手や将軍の名が飛び交う
まだ自分たちを必要としてくれる、働き場所がある
真っ向から向き合ってくれる竜将軍に誰もが必要とされる未来を見た
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