運命の出会い①
~~今から十年前~~
「ふぇぇぇ~~~~ん・・・か、かぐら、かぐら」
「ヤーーイ泣き虫太子!泣き虫太子!」
村から少し離れた森の中で嗚咽をあげながら泣く子供の周りを泣いている子より大きな子供達がはやし立てる
「こらーーーー!!!!誰を泣かしてる!!!」
大きな男子達はぎくりと声のする方に振り返った
木の棒を肩に置きながら睨みつける子供は
男の子か女の子かも分からぬような幼い子供であったが
見つめる瞳は誰よりも強い光を持っている
その目を見た子供達は
「やべっ!!みんな逃げろ!!」
ガキ大将の男の子の一言に蜘蛛の子を散らすように男の子達は逃げ出した
「二度とするな!!閃をいじめる者は絶対許さない!!」
逃げ出した男の子達を追うようなことはせず、子供特有の高い声で一括した
「えっぐ・・えっぐ・・」
神楽は未だ泣き続ける閃近づき
「もう大丈夫だよ。閃。痛いところはない?」
閃より幼いはずの神楽は精一杯背伸びをしながら閃の黒い髪を撫でながら優しく声をかけ始めた
「かぐ・・ら・・・」
涙でぐちゃぐちゃになった顔のまま閃は神楽に抱きついた
それを神楽は閃が泣きやむまで頭をなで続ける
これが二人のほぼ毎日繰り返される日常となっていた