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王の竜玉  作者: ito
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二人の二つの関係

戦いが終わり1年後・・・


「ふぁぁ~~~眠い。」

春の日差しが降り注ぐ欄干に寄りかかり大口を開けて欠伸をする男がいた


「何をしてらっしゃるんですか、陛下」

「やぁ!竜将軍!ここでお茶でもしないかい?」


そこに顔の半分を仮面で覆い、表情が全く読み取れない竜将軍が冷たいオーラを出しながら現れた

そのオーラが全く分かっていないのか陛下と呼ばれた欠伸をしているこの男、璉国第79代、閃王せんおうはにこやかにお茶の用意をし始める


「今日は閣僚の会議のはずではありませんでしたか?」


「いやいや、竜将軍がいなかったから、抜け出してきてしまったよ」


悪気無しに言う台詞に竜将軍は大きな溜息をはくしかなかった

 


この二人は従属の関係であるが、もう一つの顔がある


「そんなことより、もうその仮面を外してくれないか、・・・・我が寵妃よ。」

いきなりの話転換について行けず、すっと伸ばされる閃の手に反応が出来なかった竜将軍は仮面を奪われてしまう


仮面が外れて現れたのは、眉をハの字に曲げた閃国王の唯一の寵妃、神楽かぐらだった


「陛下、お止めください。誰が見ているか分かりません。」

陛下からゆっくりとした動作で仮面を奪い取り、また顔に付けようとするが

それを閃王は許さない


「ココは私の後宮だよ。それも寵妃の屋敷だ。誰も近づかないし、周りに人の気配がないのは将軍の君の方が分かりきっているだろう。」

仮面を付けるようとする手を押しとどめ、命令にも似た声に

寵妃としては諦めるしかない


「着替えておいで、君のその格好は何とも言えないよ。」

閃は神楽が諦めたことをいいことに、寵妃の姿を上から下まで眺めて言う


神楽の姿は肩まである髪を一つにまとめ、軽装ではあるが軍服に帯剣していた

表情が露わになると、あどけない少女が似合いもしない男装をしているようだ


神楽は瞳をあげると、閃と瞳が重なり合う

その瞳は誰の反論も許すことはない力強い瞳


神楽はその瞳から急いでそらすように

少し腰を折り顔を伏せ陛下に頭を下げる


「・・・・はい、陛下」

そして、逃げるように部屋の中に急いで入り込み

閉じた扉に背を預けてズルズルと座り込む


「ハァハァ、気づかれませんように・・・」

顔が赤くなるのが分かる

心の臓が高まり破裂しそうだ


「ばれてはダメ・・お願い、もう少しだけ・・・傍にいさせて」

頬を伝う雫は誰に気づかれることなく陛下から賜った玉へと落ちる

誰に知られることもない恋心と共に・・・・




この二人は王と臣下という関係ともう一つ、王と寵妃という関係があった



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