女の決意
太陽が沈み始めた頃二人は村に戻ってきた
そして、王宮からきた兵達に王宮に戻ることを閃は伝えた
次の日村では閃に対するお別れ会、いや神楽もついて行くと思っていたため行われた
しかしその会に神楽の姿はなかった
森に閃に持たせる薬草を採りに行くと言って、朝からいなかった
どれだけ森にいただろう
背中に背負った篭にはたくさんの薬草が入っている
「・・採り過ぎちゃったかな・・こんなにあっても閃の荷物になっちゃうかな・・」
一人で言った言葉に涙が出てきた
「ううっっうわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
やっと、一人になることが出来て、感情が爆発した
溢れる涙を止めることなく、声を張り上げて泣いた
日はドンドンと傾いて西の空が赤く染まり始めてきた
「やばいなぁ・・目が腫れてるな・・・」
目元を冷やすため篭をもう一度背負い治し川へと歩き出した
下を向いていても森のことを熟知している神楽は迷わずに近くの川まで歩いていける
「・・・・・だろう。・・どうせ・・できない・・・」
ふと川の近くにいる人影に神楽は気づいた
川にいたのは閃を迎えにきた兵士達だった
「どうせ、あの閃とかいう男も何も出来ないんだろう」
「あぁ、俺らのご主人様の人形になって王家を牛耳ろうって言うことらしいぜ」
「じゃぁ、いらなくなったらポイッてことだな」
「あぁそういうことらしいぜ。俺たちもおこぼれが貰えるといいなぁ」
ゲラゲラと笑う声に神楽は怒りを越えた感情が溢れてきた
神楽は走り出した
持っていた篭も投げ出して村へ、閃の元へと急いだ
「お!神楽が帰ってきたぞ!!」
「神楽ねぇちゃん!!行っちゃうの!!イヤだぁ!!」
「残念ねぇ、あなたがいなくなるとこの村は寂しくなるは」
神楽が村に着くなり村人に囲まれた
だが、呼び止める声を無視して神楽は目指す人を捜した
自分の家にたどり着いたときに捜し人は見つかった
「閃!!」
部屋の上座で落ち込んで座る男に神楽は足音を立てて近づいた
閃の服の首筋を掴み閃を立たせた
そして、顔の近くに引っ張り、今にもくっつきそうな距離で
「閃!!私もついて行く!!私は・・・あなたを守る!!」
閃の目はこれ以上ないほど開いた
「閃!!ごめんなさい!!やっぱり、あなたの傍を離れたくない!!」
一気に言い放った声に、その場は一瞬で静かになった
「はぁぁぁ、閃こんな娘だけど貰ってくれないかな?」
静かな空間で放たれた柳燕の言葉に神楽の意識が戻ってきた
「あっ!」
見渡せば多くの村人がいる
その目が立っている二人に注がれる
閃の襟を掴んでいた手が緩くなり、どんどんと顔が赤くなる
閃に目を向けると片手を口に当て、目線が彷徨っていた
あまりの恥ずかしさに閃の襟から手が離れようとした瞬間、今度は閃の手が伸びてきた
背中に手が回され、引き込まれる
反応できないまま、耳元でささやかれた言葉に目が開く
「・・・共に・・・歩もう・・・」
「閃、どうか娘をよろしくお願いします。」
柳燕の言葉と同時に多くの村人から祝福の言葉が飛んだ