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第三章:再会と覚醒
リクは、ある夜の夢を見る。
暗い訓練施設の中、隣にいた少年の手。
走り抜けた森。囁かれた言葉。「ユウリ、僕が君を守るから」
目覚めた彼は、無意識にネットで「ナオ」という名前を検索していた。
そして、ある動画にたどり着く。
ナオが、ライブのMCで突然、涙を浮かべながら話した言葉。
「この声が、たった一人にでも届くなら。君の名前を、もう一度、呼ばせてほしい。――ユウリ」
その瞬間、記憶が雪崩のように戻ってくる。
名前。任務。事故。そして、ナオキ。
リク――いや、ユウリは、ナオのライブチケットを手に入れ、会場へ向かう。
人混みの中、遠くステージで光を浴びるナオと、目が合う。
そして、彼は静かに口を動かす。
「――ナオキ」
ナオが、マイクを落とすほどに驚き、涙をこらえながら微笑んだ。
それは、国を越え、記憶を越えた、再会だった。