9.sideモニカ
短めです。
グラスの割れる音のすぐ後にドサッという音がした。一瞬静まり返った会場はすぐに悲鳴に包まれた。
「ゲリーニ家の令嬢が倒れたぞ!!」
「モニカ様!?」
モニカ・ゲリーニは罪悪感で本当に倒れそうになっていた。
こんな子供騙しな方法で大丈夫かしら?でもこうしないと領地の皆が…!ラファエラ様本当にごめんなさい!
「何事だ!?警備兵は!?」
「血!血よ!嫌ぁっ」
周囲の声に何とか上手くいっているようだ。その事に少し安心するが緊張のせいか上手く呼吸が出来ない。
え?本当に苦しい…?
あまりの息苦しさに深呼吸をしようとし気づく。自分の口に大量のマッシュルームが詰め込まれている。
「!?」
驚いて口を閉じようとするが、詰め込まれすぎていて咀嚼もできない。顎が外れそうだ。
「大丈夫ですか!?いくら何でも詰め込みすぎですよ…!」
警備兵が駆け寄って困ったように介抱してくれる。訳が分からない。自分はケチャップで血ノリを装い倒れただけだ。それなのに一体この大量のマッシュルームはどこから出てきたんだ。
これじゃただの食いしん坊じゃない!恥ずかしくて顔から火が出そう…。
涙目で向かい側を見れば、ラファエラが蒼白な顔で倒れている。口から血を吐く彼女は、モニカと目が合うと弱々しく微笑んできた。
大丈夫、全て分かっているわ。私に任せて。
モニカは自分の代わりに倒れたラファエラの慈悲深さに涙を流す。この恩は必ず返すと誓った。
真面目に不真面目( ´灬` )ノ