4 就職
書類は、自分は不適合者に該当し、今後ダンジョンには入場しないことを承認する、みたいなものだった。
俺は書類に記入し、母印を押して今多さんに渡した。18才、成人の扱いなので母印で公的書類が成立すると言われた。
JKは、未練タラタラで、書き終わった書類を手渡すのに10分ほどかかった。その気持ち、わかるよ。
「たしかに承認書を受け取りました。お疲れ様でした」
今多さんが座ったままお辞儀をする。
「ところで、お二人とも高校3年生、進路はお決まりですか?」
俺もJKも、異口同音で、一応大学に行こうと思っています、みたいな返事をする。
「不適合者になった今でも、ダンジョンへの思いがあるのなら、もしよければですが、ダンジョン免許センターに就職しませんか?」
俺もJKも顔を見合わせる。
不適合者で、ダンジョンに入れないのに?
「免許センターの職員であれば、特別にダンジョンに入ることも、できます」
!!
再び、俺とJKは顔を見合わせる。そんな方法があったのか!
でも俺は【愚者】。俺でも大丈夫なのか? 俺も含めての声かけだから、大丈夫なんだよな!
「【聖女】でもパーティー勧誘で困るとか世間で人気者になるとかは、ないと思います。職員ですから」
JK、パァーッと笑顔になる。めちゃくちゃかわいい笑顔だ。
「この先の説明は、聞いたら引き返せません。極秘事項扱いを含むので、誓約の指輪をしてもらいます」
そう言って今多さんは、ふふっと笑った。
なに? その思わせぶりな笑顔……誓約の指輪?
「誓約の指輪ってなんですか?」 JK、指輪ネタで反応が早い。
「知り得た秘密事項を外部に漏らすと死をもたらす指輪です。左の薬指にはめてもらいます。一度つけたら外せません」
「この人と二人で、その、指に、はめるんですか?」 JK、嫌そうだな。
「お二人で今、一緒に免許センターへの就職が決まったら、そうなりますね」
「ええーーーっ」 JK、声が大きいよ。
「誓約の指輪は、はめると見えなくなるので大丈夫ですよ。実は私もつけています」
今多さんはそう言って左手を見せる。薬指に、指輪はない。
今多さんって、まだ独身なんだ。なんだかうれしい。
「それならいいかな」 なんだ、その妥協した感じは。
「私、大学やめて、就職します。大学に行ってもやりたいことないし、お給料もらえて、ダンジョンに入れて、楽しそう」 JK、即決かよ。
「大宮さんはどうしますか?」
今多さんにお世話になります。
「【愚者】でも大丈夫なら、俺も免許センターに就職します」 俺は今多さんの目を見つめて答えた。
「【愚者】でも、もちろん、大丈夫です」 今多さんがうなずく。
「この人と同期なんだ、クズジョブなのに」 クズ、三回目なんだけど(涙目)
「それではこちらが指輪です。どうぞつけてください」
今多さんが上着のポケットから指輪を出した。すでに用意してあるのか。
パカっとしたケースはなく、裸の指輪だ。模様が入ったシルバーリングみたい。
指輪を受け取ってはめると、たしかに見えなくなった。不思議だ。
「ホントに見えなくなるー。よかったー」 このJK、どれだけ嫌なんだよ。
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