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筋トレ7  盗人とケンタウロス伝説

 モンスター討伐から数日後。

 日課の薪割り(という名の筋トレ)に勤しんでいると、修道院に町長が来た。


「ここ最近、盗難が増えているんだ。四日前におれの家で眼鏡、一昨日はゴードンさんちで指輪、昨日はボブのとこの置物とジーナばあさんちのペンダント。この修道院は女性しかいないだろう。戸締まりに気をつけておくれ。ばったり泥棒に出くわしてしまったら、何をされるかわからんからな」

「わかりました。気をつけます」


 一緒にいたシスター・クロエも「気をつけます」と答えたけれど、町長が帰ってからあっけらかんと笑う。


「泥棒ねぇ。あたしたち装飾品アクセサリーなんて持っていないし、お金もほぼないし。持っていかれそうなのは食べ物くらいだね」

「うーん、うちで盗られてしまいそうなもの、神様の銅像、危なくないですか」


 日本でも仏像盗難が多発していたし、異世界だからといって敬虔な人ばかりとも限らない。


「まさかぁ。神像を盗むなんてそんなバチあたりな人いるかしら」

「信仰心があったら、はなから人様のお家に盗みに入りませんよ。それに日を追うごとに盗まれる物が増えているようですし、調子に乗ってどんどん増長しているように思います」

「身も蓋もないね。でも確かに警戒する必要はあるか。シスター・アグネスとシスター・ハンナとも話し合おう」

「ええ!」


 そんなわけで、我らが神様の像を厳重に、厳重にお護りするため、交代で深夜番をことにした。

 シスター・アグネス、シスター・ハンナ、シスター・クロエ、私の順番。

 深夜から夜明けまでが私の担当時間だ。


 シスター・クロエと交代して、カンテラ片手に礼拝堂の影に隠れる。


「あー、座ってるだけだと眠っちゃいそう。そうだ、スクワットしよう。足腰が鍛えられていいよね。眠くなることもないし名案!」


 両手を後頭部に当ててLet'sスクワット☆


「百九十九、二百、二百一」


 200を数えたあたりで、大きめの人影が二つ、礼拝堂に近付いてきた。

 他のシスターは今の時間寝ているから身内ではない。


「へっへっ。誰もいねぇな。さすが女だけの修道院」

「そうっすね兄貴。銅像なんて、溶かして鉱石に戻せば盗品だってバレねーし、ぜってー良い値になるっすよ」


 はーい盗人確定。


 神像溶かして売るとか抜かしてるし、容赦なくとっ捕まえてオッケーですよね神様!


「うふふ。こんな夜更けに礼拝ですか? 懺悔ざんげするなら、ここの神像より先に、盗みに入った家の人たちにするべきです」


 盗人ふたりに歩み寄る。

 さっきまで筋トレしてたから体は温まってるわ。

 小柄なヒゲもじゃに突進する。


「おりゃあぁああ!!!!」

「ぎゃーーーーーー!! け、ケンタウロスかこいつ!!」


 助走をつけたパンチでヒゲもじゃが吹っ飛んだ。


「兄貴いいいい! こ、こうなりゃ、オレだけでも逃げ……」 

「逃がさん! みんなから盗んだものを返しなさい!」


 回し蹴りが腹に決まって、ひょろ長い方も倒れた。


 やはり、筋肉。筋肉はすべてを解決する。


 夜明けとともに、盗人兄弟を町長に引き渡し。

 ふたりの隠れ家からはこれまで盗まれたものが出てきたよ。



 そんでもってこれ以降、深夜の礼拝堂に「懺悔しろ!」と叫ぶケンタウロスが出るという噂が立った。

 なんでだ。

    ^ ^

   / ・ิω・ิ ヽ ケンタウロス「懺悔しろください」

 _ノ ヽ ノ \_

/ `/ ⌒Y⌒ Y ヽ

(  (三ヽ人  /   |

| ノ⌒\  ̄ ̄ヽ  ノ

ヽ___>、___/

   |( 王 ノ〈

   /ミ`ー―彡ヽ

  / ヽ_/  |

  |

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― 新着の感想 ―
[一言] >持っていかれそうなのは食べ物くらいだね 子供をさらう可能性も(;゜Д゜) でもってケンタロス!? ポケ○ンのか……だったら角が生えて見えたんでしょうなぁ(ォィ 某バッファロー超人のよう…
[良い点] 盗人もまさかこんな剛腕で屈強な修道女がいるなんて思わないですからね。 ケンタウロス……そのくらい迫力あったんですね(笑)
2024/02/26 22:43 退会済み
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