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まりさんの救出とぼく

(ちがう!長いトイレじゃない)


僕は一気に緊張感が高まる。

何かが起こっている。トイレの中で。


女子トイレ、入っていいのか、僕は......


「まりさ~ん、トイレにいますかぁ?」

僕は緊張で声が震わしながら恐る恐る呼びかける。


……………


なにも返事がない。

僕はバカか、返事ができるならもうしてるはずだ。


僕はどうすべきか、ない知恵を絞り出す。


まりさんの携帯を鳴らす。


ブー、ブー、ブー、

微かだがバイブオンが聞こえてくる。


(いる!トイレの中だ)


僕は意を決してそーっと女子トイレの扉を開ける。


誰もいない!


初めて入る女子トイレ。

小便器がない。個室ばかりだ。


!!


1番奥のトイレの扉が閉まっている。


あそこだ。あそこに違いない。


僕は足音を立てずにそーっと近づく。


下の隙間から覗き込む。


!!


足が6本ある。

男だ。この足まわりは。

か細い2本はまりさんの足首に違いない。


戦って勝てる相手ではない可能性が高い。


僕は隣の個室に入った。


そして上の空間からスマホのムービーで隣の様子を撮影をする。

僕のない知恵の一つだ。さっきまりさんの携帯を鳴らした直後に

ムービー録画をしはじめていた。自撮りモードに切り替える。


!!


まりさんが縛られている。口にはガムテープが貼られている。

男が2人、音を出さないように扉の外を見て固まっている


「あっ!」

僕は思わず声を出してしまった。

男の1人に見覚えがあったからだ。

サークルの選考会当日に僕をいじめてまりさんに追い返された男だ。

目つきの悪い背の高いイケメンだ。


「おい、こら!何撮ってやがるてめえ」


上から撮影していることがバレた。


僕は急いで女子トイレの入り口に逃げる。


ガチャ、

奥の個室の扉が開く。


「おい、お前、何やってんだよ。殺すぞてめえ」


「ぜ、ぜんぶ撮影しています。

僕がボタンを押せばツ、ツイされます。

拡散したらあなたたちは身バレします。

い、今すぐまりさんを解放してください」


「クソが、おまえ、それこっちによこせ」


僕は手を動かすふりをする。

僕は携帯をいじるそぶりを見せた。

相手には何かを操作しているように見えるだろう。

陰キャな僕なりの戦い方だ。


「おい、おまえ、やめろ!」

男どももこの時代においてツイが身を滅ぼすことを認識しているようだ。


「ま、まりさんと交換条件だ」


「わかった!わかったからツイすんなよ」


「まりさんのガムテと縛ってるテープをは、はがせ」


目の前で話していたあの男がもう1人の男にあごで指示する。


「ぷはーっ!もうこの変態!」


「イタッ!」


まりさんは男の1人の足を思いっきり蹴ったようだ。


まりさんが逃げ出そうとするがあの男に捕まえられる。


「おい!交換条件だろ!まずはそのケータイよこせ」


「ま、まりさんが先だ!」


「なに言ってんだよ。解放したらおまえらおれをサツに売り飛ばすだろ」


「そんなことしません。僕はまりさんが解放されればいいです」


「信じられるか。まずはケータイだ」


「まりさんが先じゃなければツイします」

僕の手に力が入るのが相手に伝わる。


「イチローくんはウソつかないわ。私も約束する。警察には言わないから」


「信じられるか」


コトッ


イチローが携帯を女子トイレの入り口に置いた。

そしてトイレの扉から離れた。


「これで僕の手から離れました。僕の望みはまりさんだけです。

 まりさんを守る約束をしましたから」


「くっ、わかったよ。おら、いけ」

まりさんが走って僕のところへ来た。


「まりさん、階段、逃げて」


僕はそう言うと床に置いてある携帯まで走り遠くへ蹴り飛ばす。

まりさんはそれを合図に走り始めていた。


「おい!おまえ!」


僕はもう走り出していた。先に逃げたまりさんを追いかける。


「くそっ」

男は僕たちを諦めてケータイの方へ走り出す。


まりさんに追いついた僕は手を引っ張り、できる限り遠くまで走り続ける。


旧棟を抜け出し、新棟の中心の噴水広場まで走りきった。


『はあ、はあ、はあ、はあ』

2人とも膝に両手を乗せて肩で息を切らしている。


「はあ、はあ、はあ、イチローっ、くん、はあ、ありがとう。ははっ、はははっ、ははははっ」

まりさんは息を切らしながらも噴水の前で笑い始めた。


そのままお腹を抱えながら笑った。


「怖かったぁ〜、でも最後は楽しかったぁ〜」

ドラマや漫画で見るような出来事だった。

それを自分自身で目の当たりにすると笑いが出てしまった。


「はあ、はあ、よかったぁ〜、まりさんが無事で。変なことされませんでしたか?」


「はぁ、はあ、ありがとう。はあ、イチローくんのおかげで大丈夫だったよ」


「はあ、本当にに何もなくてよかったです」


「はあ、イチローくん携帯、ごめんね?」


「僕、そんな友達いないのでくれてやって大丈夫です」


「え、でも………」


「新しいの買いますね。まりさんには申し訳ないんですがまりさんの番号も変えてもらった方が良さそうです。あの僕の携帯でバレると思うので」


「それくらいいいよ。だって命の恩人だもん」


「いえいえ………」

僕は照れてしまって下を向いた。


「あれって星野まりじゃねえ?」

「そうだよ、あれ、そうだよ」


メイン広場だとすぐに周りにバレる。


「えつ!」

まりさんが急に僕の手を引っ張った。


「行こっ」

手を握ったまま走り出すまりさん。人気のないところへ連れて行かれた。


校舎裏の人気のないスペース。


「まりさん、どうしたんですか?

こんなところに」


「ふふっ、かっこよかったよ。イチローくん」

いつもは大胆なまりさんがもじもじしている。


「え、あ、はい。ありがとうございます」

まりさんがいつもと違う雰囲気なので僕は戸惑ってしまう。


「ねえ、キスしたことある?」


「えっ?........」


いつもお読みいただきありがとうございます。

今回のストーリはいかがでしたでしょうか?


楽しんでいただけた読者の皆様、

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