第1話 こんにちは
高校二年生の秋、私立高校に通う高校生。「水上涼平」はある女子生徒に告白をした。
「こ、こんにちは」
「…こんにちは」
「ず、ずっと前から凪原さんのことが好きでした! 付き合って下さい!」
「え、えっと…ごめんなさい! 少し考えさせて下さい!」
「えっ…」
凪原という女子生徒に告白を断られた少年。水上はどこにでもいそうな生徒の風貌をしていて、身長は177cmとそこだけは本人にとって取り柄だった。普段はボサボサとした黒髪で、学力の成績は中途半端な感じで毎回切り抜けていた。
水上に告白されていた少女は「凪原奏多」は学校一有名な才色兼備である。身長は170cmほどで、美しいロングヘアーの茶髪をしている。その整った容姿と学力はたくさんの人から尊敬され、またはその一部からは疎まれる存在でもあった。
水上が凪原を好きになるきっかけがあった。偶然で、同じ文芸部に所属していた水上と凪原は時折、同じ本を読んでいたことが始まりでよく話すようになり、互いに好きで読んでいる本を貸し借りすることで親睦を深めていった。
そこからというもの、友人感情から恋愛感情に変わり、今に至ったということになる。
フラれたようにも見えた水上。だが、しかし。水上にも何もない日常に転期が訪れる。
10月28日、午後4時30分。
「私も水上くんのこと、ずっと好きだったの」
「ええっ!!」
「だから、一緒に付き合おう…」
「う、うん」
文芸部の部室に放課後、呼び出された水上は改めて、告白した時の返答と答えを聞かされた。
お互いに両思いだった水上と凪原はその後、隠れるようにして付き合うことを誓い合った。
身分というか、学校全体の周囲による目があったので、それがきっかけで互いに問題あってはと気遣いあっての行動であった。
幸せもつかの間、この日は文化祭の前日でもあった。文化祭の準備に各自、生徒たちが追われる中、とある不思議な事態が二人を巻き込んでいくことになる。