R氏の「ボランティアと称した学徒動員 -賃金も払えない日本」というエッセイを悪役令嬢的に賞賛するエッセイ
この文章は、
ボランティアと称した学徒動員 -賃金も払えない日本
というエッセイを讃えるエッセイです。
Rさんは、難しい言葉を「常識の言葉ですよね」と、普通の人は知らないであろう言葉を「と言ってますよね」とさも当然のように言って、無知蒙昧なる人々を煽るのがお上手ですのね。
でも、そうやって煽るからにはさぞかしボランティアへの深い造詣がおありになるのでしょう。
と思って読むと、あらあら、矛盾しているところがありますわ。
Rさんがそういった矛盾について自覚なくドヤ顔でこの文章を書いていると思うと、とても楽しく読ませていただけますの。
ふふふ、コメディアンとしての才能がおありになるわ。
誤解しないでいただきたいのですけども、わたくしも、日本のチャリティーのありかた、ボランティアのありかたには問題があると思っているの。
そういう意味ではRさんの意見に賛同する旨は大いにあるのよ。
ええ、自信をお持ちになって。
ただね、文章の運びがもう面白くて、面白くて。
まず、
「ボランティアという言葉、もっと元をたどるとボランタリーという言葉になり、「自発的」という意味。」
とあるわ。
ふふふ、一行目から笑わせてもらっちゃったわ。
なんで、「もっと元をたどった」と言って、ラテン語にもならないのかしら?
わたくし、ボランタリーという言葉がいつ生まれたかは存じ上げませんけど、英語ですわよね?
少なくともラテン語のVoloとか、キリスト教系のVoluntateやVoluntasより古い言葉とは思いませんわ。
もちろん、大学で宗教学やラテン語を学んでいれば常識の言葉ですわよね。
それでね、
「日本は戦時中から強制奉仕活動をボランティアと称して勤労奉仕させた過去がある」
と書かれて批判しているの。
ふふふ、これを特筆すべきトピックだと思ってることがまた笑わせて貰っちゃったわ。
Volunteerって言葉、英語における原義は志願兵であることをご存じないのかしら。
いやいや、まさかそんなはずはありませんわよね!
わたくし、中学3年の時にこの意味は知ってましたわ。大学卒で学歴についてなども講じられる、Rさんが知らないはずありませんわよね。
一応お教えしておくと、十字軍遠征の時に、「神の意志Voluntasに従い、聖地奪還に向かう者」からきているのよ。
だから戦争中の強制奉仕活動を日本がボランティアと称したとしても、何もおかしいとは思いませんわ。
……それとも志願兵と強制奉仕は違うと思っておられるのかしら?
だとしたら頭ハッピーセットね!素敵だわ!
世界中の、歴史上の志願兵が全て自由意思によって成り立ってると思うだなんてそんな素敵なことはさすがに考えてはおられませんわよね!世界史を学んでいれば当然理解できることですものね!
あとは、そうね、
「極めつけはオリンピックボランティア」
かしら。
オリンピックボランティアへの批判はあってしかるべきだと思うの。
わたくしも一概に全てのボランティアを良しとする立場ではないし、オリンピックボランティアに関して、悪い点はいくつもあると思うわ。
うんうん、良い問題提起ですの。
じゃあ何がこの言葉が面白いかって?
「日本の」ボランティアがおかしい、「衰退国日本!」という趣旨の文章の中で取り上げられているからに決まってるじゃない。
Rさんはオリンピックボランティアの動員を日本が開発したとでも思ってるのかしら?
まあ、だとしたら日本は素晴らしい発明をしたのね。
オリンピックにボランティアが動員されるようになったのは戦後すぐの話だわ。
それを抜きにしても、本格的にとなるとバルセロナね。この言葉が公的に最初に使われるようになったのは92年の時なの。
東京オリンピックは今までの最大規模のボランティア動員を行うという話だけど、それは特別なことではなく、単に回を追うごとに増えているというだけの話だわ。
つまりね、Rさんは
衰退国スペイン!
衰退国アメリカ!
衰退国オーストラリア!
衰退国ギリシャ!
衰退国中国!
衰退国イギリス!
衰退国ブラジル!
衰退国日本!
と言っておられるのよ、ふふふ。
冬季も入れれば、
衰退国ノルウェー!
衰退国イタリア!
衰退国カナダ!
衰退国ロシア!
も増えるわね!これはもう、シリーズを「衰退星地球!」にグレードアップするといいんじゃないかしら?
Rさんは2024年には衰退国フランス!っていってくれると思うわ。期待しちゃうわね。
最後に教育とボランティアの件ね。
「日本社会は~ボランティアと称した強制労働奉仕を心の教育と称して従事させる。報酬として内申点やAO入試でプラス加算するというインチキ~大学ってのは研究と学問を修める場で「心」なんて関係ない~」
推薦やAO入試そのものを否定してきましたの。
日本の推薦やAO入試システムについて、Rさんの場合ですと大学入試制度への言及ですわね。まあ、正直言って、実際のところ悪い点も多く見受けられるわ。
でも大学は研究と学問を修める場で、「心」なんて関係ないらしいんですのよ?
まあ、なんて前時代的なのかしら!素敵ですわ!
Rさんは日本で科挙制度でも復活させようと考えているのかしらね?
そうですわね、アメリカでは高校・大学で長期休みと言えばボランティア活動に参加するのが一般的、日本よりはるかにボランティアの意識が高いですわ。
これが完全に、進学や就職を考えない「自発的」かつ「無償」の行為と思ってらっしゃるのかしら?
ボランティアの時間により就職に有利になるようなシステム、ボランティア募集機関や認定機関が存在するというのに。
ボランティア認定証なんていうシステムすらありますわ。
これはもう「衰退国日本」なんてレベルではないですの、「荒廃国アメリカ」ですのよ。
いやあ、笑わせてもらいましたわ。
そうね、わたくしが1つアドバイスできるとしたら、Rさんはこの文章のジャンルをエッセイではなくコメディにした方が良いのではなくて?
素敵な文章でしたわ。
感想返しは期待しないで-。連載書かなきゃいけませんの-。
あ!そうですわね。
そんなことより、「なまこ×どりる」読んでくださいまし!