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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

月星と蛍、夜空のはなし

作者: 蛍ノ影


むかしむかし、あるところに。鳥の妖の夫婦がいました。

なかなか子供に恵まれず、ある夏の夜……

月と星と、蛍の光が綺麗な夜でした。

“どうか、私たちに子供をください……”

とお願いをしました。


それから一年後、元気な男の子が生まれました。

月と星のような綺麗な金の髪に、蛍のような美しい左目。

まるであの時二人で見た風景のような、と夫婦は思いました。


「なんて綺麗な子なんでしょう。この子の名前に”蛍”ってつけましょう!」

「それはいい考えだ。志とつけて、蛍志はどうだ?」

「素敵な名前ね。…………でも」

「ん?」

「これはいらないわ。この色……黒は良くない色よ。それが濁っているなんて。黒って、闇に影、死……やだ。考えるだけで。見たくないわ」

「それはそうだが……でもそれ以外は綺麗だ。」

「……そうね」


近所の人達は蛍志のことを幸せを運んでくれると思っていて、

「左目を見せてくれ」

「右目は見せるな」

と言っていたのでした。


蛍志は、

「私が生まれる前に両親が見た、月と星と蛍……それを輝かせていた夜空の色だと思っているのですが」

と言うと

「そんなことない!お前の右目は悪いものだ、醜いのだ。だから見せるな。」

と言われてしまうのでした。

成長するうち、蛍志は無意識に右目を隠してしまっていた自分が許せなかったのです

ですが…少しだけの反抗心で反対のことをしました。それはそれは。街の人たちに酷く怒られました。勿論両親からも。


ある時福を呼ぶ呪を施そうと夫婦は蛍志を呼びました。


「お父さん、お母さん?なにを、するんですか?」

「幸せになってもらいたいんだ……それだけだ。だから気にしなくていいぞ」

「まって、ください……嫌です。…いたい…、やだ……」

自分は悪くない。なのに、何故か。



周りが悪いものだとおもった。

悪いものは醜くて見せるな?という事なら。

悪いものはいらないんでしょ?

なら消してあげますよ?

呪を刻まれ、そう決心した。

「……っふふ……」

「蛍志、どうした?」

「なんでもないです……死んでください」

そこから、街の人を自らの爪で斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って切り刻んでぐしゃぐしゃの醜いモノにして。

何故斬ると血が出るのか、それはきっと血を持っているものを切ったから。

何故ここに両親が倒れているか、それは自分が殺したから。

何故街が赤く染まっているか、それは私が醜いモノを散らかしたから。

いつもの無理をしている、演じている自分ではなく、本当の自分。

これこそが、ありのままの自分こそ美しいことなのでは?と思った。

「……っふふ…ははっ……あはは…っははははははははは!!」

もう自分はおかしくなってしまったのかもしれない。きっと、あなた達のせいで。

だがやっと解放された。

私は、自由だ。

……………………………

「さて。」

ここは妖達が人間界でひっそり暮らしている所らしいのですが……神域と呼ばれる場所があるようです。

そこで新しい人生を始めましょう。



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