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親愛なるラヴィヴェル

 勘違いしてたわ。

 私はあなたのことを鏡に映る私だと思ってた。だけど、どうやら違ってたみたい。水面に映る私とでも言っておこうかしら。私に関係なく揺蕩う。私はそれを眺めるだけ。

 だからかな、自問自答を繰り返して繰り返したわ。あなたが何も知らないまま、今の気持ちに従った方がいいのじゃないのかなって。私が伝えようとしていることはただの足枷になるんじゃないのかなって。

 でもね、ここで言わなかったら追いつけそうもない。

 導き出した答えは私のために足枷をつけてもらうこと。

 ここから先は読むのも読まないのも自由だわ。

 あなたは二人、お父様とノーフプからどんな話をどういった雰囲気でどういった心持をして聞いたか知らないけど、愁嘆場は一所しか光を浴びない。周りは暗くて見えないものなのよ。

 まず私たちの結婚は私たち自身が祝えるものではなかった。

 あなたが胸を撫でおろす光景がありありと浮かぶのだけれど、吐いた息を吸って顎を引いてちょうだい。祝えないのは二人だけであって三国の民は祝ってくれるのだから。

 それによ。祝えないからと言ってノーフプと結婚なんてできないの。そのことはあなたでも分かるでしょ?例え一緒になれても幸せなんかになれない。断言する。

 一瞬の幸せと引き換えに一生の幸せを手放すなんて馬鹿げてると思わない?

 少し言い方が悪かったことは謝るわ。なんでそんなことあなたが分かるの?って当たり前の反論が頭を擡げているかもしれないから続けれるけれど、怒らないでちょうだいね。

 イェクザ・ドゥロフとノイツ・プレの戦争は日に日に拡大して、昨日なんてとうとうバリ川に赤色が混じったって聞いたわ。

 利発なあなたならもうわかっているでしょ?

私たちの結婚は政略結婚なの。

反故にしたら何千何万ものティミル・エムツの国民が巻き込まれてしまうのよ。一人の我儘で。生まれてきた時から背負っているの。国民の幸せを。

でもこれは、私が伝えたいことじゃない。一人の女の子としてのあなたに伝えたいことがあるの。

ノーフプは何かを企んでいると思う。根拠も証拠もないけど、あの人の行動が物語ってくれる。好きが大きくなると、愛が目隠しをしてしまうものなのよ。

よく考えてみて。お願いだから。

それじゃ。

おやすみ、おはよう。

言ってしまえば一章の終わりです。

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