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僕と香織さんの日常  作者: ありす
1/1

肩こり

「こんばんは….あれ?なんだか疲れた顔してるね」


マンションのエレベーター前で挨拶をしてくれたのは僕の隣の部屋に住んでいる香織さん。今年で社会人2年目のいわゆるOLさんで可愛い癒し系の人だ。初めて出会ったのは香織さんが大学4年生の時。僕が大学に通うために実家を出て一人暮らしを始めたのがきっかけである。


「こんばんは〜、え?そんな疲れた顔してますか?」


それに対して僕は日本史を覚えるのが嫌という理由で理系を選択し、センター試験で受かった私立大学になんとなく通っている普通の大学2年生。将来はホワイト企業に就職して毎日定時に帰るのが今の目標だ。


「うん、寝不足かな?昨日遅くまで課題してたりした?あ、エレベーター来たよ」


「ありがとうございます。いや、昨日は疲れてたのでベッドでスマホをいじっていたら日付が変わるかどうかの時間に寝落ちしちゃいました」


「そっか〜、ということは寝不足じゃなくて疲れがちゃんと取れてないんだね。頭痛かったり体が重いとか無い?」


「言われてみればちょっと頭痛しますね、首と肩も痛いかも」


「あ〜原因はそれだよ。よし、お姉さんがほぐしてあげる!着替えてからそっちの部屋に行くからちょっと待ってて」


そう言って香織さんはエレベーターを降り部屋に入って行った。さて、部屋は….うわぁ汚い。The・男の部屋という感じに脱いだまま放って置かれている上着や読み終わった雑誌が散らかっている。香織さんが来るまでにある程度片付けないと、とりあえずクローゼットに突っ込んでおけば何とかなるかな。座る場所が確保できたので良しということにしよう。


ピンポーン


「はいは〜い、開いてますよ〜」


「お邪魔します。おぉ、部屋の作りとかほとんど同じなのに住む人によって全然変わるね」


「それぞれの趣味とか出ますからね。それに僕と香織さんだと性別が違うので重視する点も違う気がします。僕は効率とか使いやすさをメインに考えてデザインとかは二の次なんですよね」


「それはあるね、私はデザイン重視だから可愛いものがあるとすぐ買っちゃんだよね。おかげで家にものが溢れちゃって」


「僕の部屋なんてシンプルですよ、必要最低限のものしか置いてないので」


先ほど片付けたので本当に物が無い。ベッドが壁とくっついて置いてあり、あとは机とパソコンそれといろんなものが詰まったクローゼットだけだ。何としてでもクローゼットだけは見られるわけにはいかない、いかなる手段を用いても死守しなくては。


「私はシンプルな部屋も好きだよ、掃除とか楽そうだし」


「基本的にパソコンいじって寝るだけですからね、掃除もたまには….」


「さて、そろそろ肩をほぐそうか。楽にしてあげるからね、ベッドにうつ伏せになってー」


「わかりました」


香織さんと部屋に二人きり、先にベッドに横になる僕。ここだけ書くとちょっとえっちに見える。え?見えない?ごめんなさい。いや、でも僕も年頃の男の子なんですよ。そういう妄想はしてしまいます!仕方ないよね!!


「えっと、大丈夫?なんかモゾモゾ動いてるけど」


「あ、大丈夫です!何の問題もありません!」


「じゃあ始めるね、と言っても私も経験ないんだけど動画で学んだから安心して!」


「僕も人にしてもらうのは初めてなので緊張します」


「初めて同士だね、リラックスリラックスー」


「そうですね、できるだけ力抜くようにします」


「それじゃあいくね。うわ、硬い….それにたくましいね」


「普通こんなもんじゃないんですかね。あ、そこ、気持ちいいです」


「すごいカチカチだ、こんなになっちゃうんだね。動画で見てたより実物はすごいなぁ」


「僕が放って置いたのが原因ですね、これからは自分でもするようにします」


「うん、ちゃんと定期的にするようにしてね。どうしようもなくなったときはお姉さん呼んでくれていいから」


「自分じゃ無理になったら呼びますね、その時はよろしくお願いします」


「今日の経験を踏まえてもっと動画で学んでおくね。あ、ここやると反応が違う。気持ちいいの?」


「あ、そこばっかりやられると、あぁぁぁぁぁぁ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はい、おしまい。少しは軽くなってると思うんだけど」


あ、本当だ。今まで重りを乗せていたかのように肩が軽い、今なら飛べる気がする!そんなにも僕の肩は凝っていたのか….正直びっくりしている。


「すごいです!さっきまでと全然違います!肩が凝っていることに気づかないほど凝ってたってことなんですかね」


「良かったぁ。酷くなってたらどうしようかと内心焦ってたんだよ」


「おかげさまですっかり良くなりました。ありがとうございます」


「どういたしましてー、疲れも取れそう?」


「はい、今晩はぐっすり眠れそうです。ふあぁ〜」


「お、早速効果が出てきたみたいだね。お姉さんのことは気にせず寝ちゃっていいよー」


「流石に悪いですよ、せめて玄関まで….」


とは言ったものの実際眠過ぎて今すぐにでも寝たい気分だ。香織さん隣の部屋だしお言葉に、甘えちゃおうかな。


「いいからいいから。あ、そうだ頭撫でてあげる。よしよし、いい子いい子」


あぁ癒されるー、これは寝ますわ….おやすみなさい。

寝る直前に見た香織さんはとても優しい笑顔だった。


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