醒めて仕舞えば
人間の間に生まれ、人間との間に生き、やがて死ぬ。
私たちは常に人間に囲まれて生きている。
感情は僕たち自身だ。
感情が手を取り合って人間は立っている。
愛は僕から削げ落とされていった。
最初に怒りを自ら削ぎ落とし、
他人の感情に無防備を晒し、
あらゆる痛みを一身に受けた。
やがて全身をかさぶたで覆るように
精神に脂肪がついていった。
次に自意識が現れた。
他人の目を正確に把握しようと必死になり、
やがて近しいものを得た。
僕の魂に宿った脂肪は巧みに自意識を操り
他人の目に映る僕を捏造した。
それは愛されることさえ容易かった。
だが脂肪は痛みを忘れ、僕の魂に愛が宿ることも許さなかった。
愛されても愛することが出来なかった。
この苦痛は耐え難いものだ。
脂肪は苦痛を許さなかった。
愛される重みも
愛することが出来ない申し訳なさも
全てが苦痛で
やがて投げ出すほかなかった。