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五人の公爵令嬢と幻の六人目

作者: かずでん
掲載日:2016/06/26

悪役令嬢やら婚約破棄やらを最近知ったので書いてみました。いつ、そんなブームがあったのか(困惑)

「ソフィア嬢、貴君には失望した。優しいアリス嬢に行った陰険な虐めの数々…、未来の王妃にはふさわしくない。よって、この場で貴君との婚約の破棄を宣言する。」


(わたくし)の婚約者…、いえ、これからは元婚約者と呼ぶべきですわね。とにかく、(わたくし)の元婚約者である第一王子がその腹に付いた贅肉を摩りながらカエルのような声でそう言った。


(わたくし)の隣でも、(わたくし)と同じようにそれぞれの婚約者から婚約破棄を受けた(わたくし)の親友である四人の公爵令嬢がいた。皆、その場で泣き崩れてしまった。


(わたくし)はそれを見てこれが夢ではなく現実だという事を認識し、叫びたくなる気持ちを抑えた。


「いきなりですわね、皆様。(わたくし)達がその可愛いアリス嬢に何をしたというのでしょうか?」


(わたくし)は王子達の後ろにいるアリス嬢に目を向けた。するとアリス嬢は勝利を確信しているのか、(わたくし)に向けて笑みを返してきた。ムッ!となりましたが(わたくし)はそれを堪え、王子達からの返答を待ちました。


「あくまでもシラを切るか。だが、貴君らの行っていた悪行の証拠は既に揃っておる。さっさとアリス嬢に謝罪した方が身のためだぞ?」


まさか証拠まで偽装してくるとは…。アリス嬢の恐ろしさが伝わってくる。


そう思ったのが彼らに伝わったのか王子は得意気にその太鼓腹を突き出した。他の四人の殿方も同じように、それぞれの醜く肥太った体をブヨヨョンと鳴らす。この四人は王子よりも身分は下ですが(わたくし)達と同じ公爵家の子息達です。ちなみにアリス嬢の実家は男爵位です。


「とにかく、(わたくし)達は誰一人としてアリス嬢を虐めたりなどしておりません。よって謝罪もいたしませんわ。」

「う、嘘をつかないでください…。ま、周りの皆様もソフィア様方が私の制服を破いたり、鞄の中に蛙を入れた犯人だと知っているんですよ。」


ここで初めてアリス嬢が口を出した。その目は潤んでおりほんの少し俯いている。殿方の庇護欲を湧き立たせるその愛らしい姿更にはオドオドとした感じで(わたくし)達が怖いのだとアピールするその名演技は褒め称えるしかないような気がする。


しかし、それを見ても第一王子の機嫌は収まらない。顔の血管は怒りで浮き出ており、元のニキビでぶつぶつだった顔が更に醜くなる。


「貴君達は公爵令嬢だ。素直に謝罪さえすれば我らは貴君達に罰を与える必要も無かったのであろう。だが、罪を認めぬというのならば…断罪せねばなるまい。」


今、行われているのは罰ではないのですね。


喉まで来ていたその言葉を(わたくし)は呑み込んだ。


公衆の面前で淑女に濡れ衣を着せる事が罰ではないとは…。王子はかなりの鬼畜なのですね。


「それで?皆様は(わたくし)達をどうなさるおつもりで?」


その場にいた全員が王子の豚のような顔を見た。


「うむ。本当ならば死刑と言いたいところだがな。心優しいアリス嬢はそのような事は望まないだろう。よってソフィア嬢、アリシア嬢、クレア嬢、エリナ嬢の計五名に国外追放を言い渡す。」


王子はそれだけ言ってアリス嬢と共にその場から去っていった。王子達の姿が見えなくなった時、野次馬達は一気にざわめいた。未成年の少女が行った軽い虐め、それだけの事で五人もの公爵令嬢を国外追放する。それはとんでもない出来事だからだ。


(わたくし)達は今のみっともない顔を見られまいと俯きながら帰った。顔がにやけるのが抑えられなかった。




結果から言えば王子達とそして(わたくし)達の故郷である王国は滅びました。原因はやはり(わたくし)達への婚約破棄でした。まず(わたくし)達が婚約破棄され国外へ追放されます。次にそれを聞いた(わたくし)達の実家、つまり公爵家が王家に事情説明を要求します。そして案の定、王子達は婚約破棄を国王様にも王妃様にも伝えていなかったようで王家はパニックに陥りました。それを見て(わたくし)達の実家である五つの公爵家は激怒、(わたくし)達を追いかけて隣国である皇国に寝返り、残りの公爵家も王家の混乱を見て見限り、あの馬鹿な息子達との縁を切って、実家と同じく皇国に寝返りました。


これにより王国は一気に弱体化、九つの公爵家を味方に付けた皇国からの侵略や民たちの反乱もあって滅亡しました。


それに伴い、(わたくし)達の元婚約者達も処刑されました。


この一連の出来事もあって皇国は世界一大きく、そして強い国となったのですがそれは今は置いておきましょう。


その皇国がたった一人だけ王国の貴族の中で処刑できなかった少女がいます。


その名はアリス。傾国の美女と呼ばれ王国全ての貴族からの恨みを一身に受けた少女。彼女は今現在、大多数の人々には王国崩壊と共に行方不明になったと思われている。


実際は違うのだけれどね。


そう呟いて(わたし)は膝の上に頭を乗せてスゥスゥと寝息を立てながら眠るアリスという名の少女の頭を撫でた。


五人の公爵令嬢・・・それぞれの婚約者があまりにも醜いので婚約破棄を心の底から喜んでいる。


アリス・・・五人の公爵令嬢の妹分。大好きな五人に頼まれたので彼女達の婚約破棄を手伝うことに。


五人の婚約者達・・・アリスを心の底から愛していたが、その醜さ故に婚約者達にもアリスにも好かれた事は一度もない。



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― 新着の感想 ―
[良い点] お疲れ様、アリス 醜いオーク共を籠絡するのは骨だったでしょうね
[気になる点] >ry)、私わたくしに向けて笑みを返してきた。 >ムッ!となりましたが私わたくしはそれを堪え >、王子達からの返答を待ちました。 ムッとなる必要あったんでしょうか?
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