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第七話

いつもと違う環境で書いたので、誤字等が多いかもしれません。

「か、身体が動かない……」


 フィーナさんとの槍の練習は地獄だった。僕が素人であることはわかっていたと思うんだけど、そんな頻繁に身体を動かしていないことは考えてなかったのだろうか、ほとんど休みがなかった……


 基本の素振り……突きの練習から始まって、槍の間合いを越えて近づいてきた敵に対する槍での対処の仕方、もう初日でやる範囲を超えてると思う。


 才能あるよ、今後が楽しみ! なんてフィーナさんは言っていたけど、ほんとかなぁ。というか最後のほうには魔力を武器に纏ってみようかなんてセントさんも言い出し始めるし……これはすぐにできたけど。


 セントさん曰く、僕の魔力とあの槍は相性がいいらしい。これは僕も思ったことだったけど、そのおかげで新しい魔力の使い方がわかって助かった。魔法とは別だけれど、魔力の使い方がわかってくれば、良い魔法が思いつくかもしれないしね。


「ただ……今日はもう寝よう駄目だ、ぜんぜん身体がいうこと利かない……」


 夕飯もほとんど食べられないくらいだったからなぁ。うん、汗は軽く流したからもういっか……


「おやすみなさい……」










▼▼▼


「やりすぎたね……」


「うん、やり過ぎだ。私も途中から参加してしまったから言えた立場ではないけど、初日から身体を酷使しすぎではなかったかい?」


 うぅ……わかってはいるんだけど、メキメキと上達していくハルキ君を見ているとどんどん楽しくなってきちゃったから……


「とはいえ、私も予想以上だった。今後は槍をメインとしていても十分やっていけるくらいにはなるんじゃないかい? 少し私も嫉妬してしまうね」


「今のままだと微妙な部分もあるんだけどね。正直身体の小ささはハンデだよ」


「その割りにはうまく使っているように見えたけど?」


 間違ってはないし、槍さばきは今後にすごく期待できるんだけど。


「鍛えればいい部分ではあるけど、体力がね。効率のいい身体の動かし方は今後覚えてもらえばいいけど、小さい身体だとどこまでやれるのかなって」


「なるほど。子供である以上仕方のないことだとは思うけれど、魔王のことを考えれば魔法をメインにすべきってことかな?」


「うん。正直もったいなくて仕方ないんだけど、魔法のほうをメインに頑張ってもらうしかないかなって。もちろん続けるけどね! このまま腐らせるのは私が嫌だからね!」


 魔法も含めて鍛えれば私と同等に戦えるくらいには結構すぐになりそうな気がする。これは言いすぎかなぁ? でも私としても模擬戦ができて、それが楽しくて、かつ切磋琢磨できるほどにレベルが近くなってくれれば……楽しみで仕方ないよね!


「……そのにやけ顔は気持ち悪いよ? 姉さん」


「に、にやけてなんかないよっ!?」


 我が妹ながらひどい!


「まあ魔法をメインに、というのは了解だ。とはいえ彼も魔法の改良に行き詰っているし、私もまだ考え中だ。少しの間は槍をメインにしてもらいたいところなのだが。ここのところはダンジョンで忙しかったからね。その間のこととでまとめる時間がほしいところだ」


「そう? それじゃあ明日もまた槍を振ってもらうわ! 楽しみね!」


 明日はどうしようかしら。私に向かって突いてもらおうかな。それを私が剣でさばいていけば、どこが悪いかも説明しやすいかな。あ、でもいきなり人に向かって実際の武器を使用するのは危険だからと敬遠しちゃうかも。


「……」


 だったら模造槍を使う? それで基本を身体に覚えさせるほうが先かしら。そもそもいきなりそのものを使っての練習が早かったかも。基本は大事よね、うん。

 その後に魔法、魔力を交えるためにあの槍を使えばいいのよね。でもあの槍自体、結構な重量があるから……そこらへんも考えた模造槍でないと駄目かしら。いやいや、ハルキ君はそんなに重そうにしてなかったから、あの槍との相性が良すぎて軽く感じてるのかも? ダンジョン出の武具にはそういった面があるっていうのも良く聞く話だし。


「…………」


 んー、迷うなぁ。一人で考えてても駄目だよね。明日ハルキ君に直接話をしてみて、どういう風にしたいかを確認しないと!


「……姉さん?」


「どしたの?」


 こっちは明日のことについて考えてるのに、邪魔しないでほしいなぁ。とりあえず槍のほうを先にってのはセントが言ったことでもあるのに。


「ハルキは明日、動けるのかい?」


「え? 何いってるの? そんなの、あたり、まえ……あ」


 そうだった! 今日いきなり身体を酷使しすぎたんだった! 慣れている人ならともかく、そうじゃないハルキ君が明日すぐに回復するわけがないじゃん!


「……気づいてなかった、というか忘れていたのかい? 闇の魔力は回復との相性があまりよいものではないから、魔法で回復させる、というのはおすすめしないよ?」


「先に言われた! だったらどうしたらいいの!」


 あーどうしよう! 自業自得だけど、いきなり予定が躓いちゃう! ここで無理をさせても絶対に良くないし……


「はぁ……とりあえず、明日彼の身体が動くようであればストレッチ、身体のほぐし方を教えてあげればいいじゃないか。絶対に今後に必要になってくるわけだし」


「そ、そうだね! もし駄目そうなら明日は一日休みにして……」


 まずはゆっくり休んでもらうところから。うん、そうしないと。


「ま、あまり時間がかかるようであれば私が魔法を教え始めるけどもね。ふふ」


「意地悪い!」


 本当にこの娘、私の妹!? ぜんぜん私と似てないんだけど! いや、血のつながった妹なのはわかってるけどさ!


「冗談さ。仮に魔法を教えることになってもそんなに一度に時間をかけるつもりはないからね。彼の魔力が豊富であるとはいえ、無理に使うこともない」


「そんなこと言って、また夢中になっちゃうんじゃないの?」


 ハルキ君の魔法のことについて考えるのに夢中になって私に殴られたこともう忘れたの?


「……そうならないように注意はするがね。それは姉さんにも言えることだというのはわかっているのかい? 今日の二の舞になるようであれば問題だよ?」


「ぐぬ……わかってるわよ。ハルキ君のペースに合わせるようにするもの」


 たぶん、きっと。ちゃんとできたらいいなぁ……


「ものすごく自信がないように見えるが。さて、私はこの辺で失礼するよ? 姉さんも遅くならないようにね」


「あ、それじゃあね。お休み。あと、別に自信なさげじゃないから」


「はいはい。それではね、お休みなさい、姉さん」


 むぅ。可愛くない。


「さってと、明日はどうしようかなぁ。ハルキ君が軽くでもいいから、動けますように……」










▼▼▼


「アーリア様」


「セントさん、ハルキさんの状態はどうでしたか?」


 夜遅く、私が業務を終わらせたのが遅くなってしまったためにセントさんにはご迷惑をおかけしています。そのことを彼女に伝えても、困った風に笑うだけなのですけれど……


「ここ数日は状態を見ることはできなかったので少し心配している部分はありましたが、今のところ問題はないかと」


「そうですか。よかった……」


 ハルキさんを蝕もうとしていた闇の魔力。シンさんはあまり猶予がないように言っておりましたが、セントさんの見立てでは大丈夫のようです。私が見られればよかったのですが……


「とはいえハルキが初日から魔力との対話を行ったと言ったときには驚きました。さらに属性は闇。アーリア様の懸念には私も同感でした。私が彼の魔法を打ち破ったことがよかったのでしょう。あのまま魔力にのみ任せる、という状況は避けることができました」


「助かりました。本当は勇者候補の貴女にお願いすることではないのでしょうが、今のままハルキさんのことをお願いします」


「もちろんですよ。私も彼のことは好ましく思っていますから」


 ……珍しい、セントさんの笑顔。フィーナさんもセントさんも彼のことが気に入っているみたい。このぶんなら安心かしら。


「それにしてもアーリア様。貴女様であれば私を使うまでもなく、ご自身の力でどうにでもなったのでは?」


「セントさん」


「っ! いえ、出すぎた真似でした。それでは失礼いたします」


「はい。ありがとうございました」


 セントさんが退出するのを確認してからソファーに深く腰掛ける。私ができるなら、そのほうがいい。私もそうしたい。だけれど……


「このままじゃ時間がないの……」


 正確な魔王復活の期日がわからない以上、打てる手は打たなければならない。あの学園に任せればある程度はうまくいくでしょうけれど。


「マリベール。彼女はあまり信用できない」


 現在の副学園長。マリベール・アリアケ。かつての転移者の子孫。彼女は何かを企んでいる。学園長は確かに信用できるのだけど。


「また、忙しくなりそうね……」


 ハルキさんの入学までにはなんとかなると良いのだけど。

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