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第六話

朝に更新できず、遅くなりました。

 こちらの世界に来てから数日が経った。魔法の改良はあんまり進んでないし、どういう戦い方をするのかもまだ考え中。


 それにアーリアさんもそうだけど、フィーナさんとセントさんにもなかなか会って話す機会がない。アーリアさんはもともと偉い人だから仕事が忙しいらしい。

 フィーナさんとセントさんは勇者育成の学園の行事でしばらく泊りがけで出かけているとか。


「黙々と魔法の改良とか、練習とかをしてるだけでいいのかな……」


 なんだか心配になる。学園に入るって話は聞いたけど、いつごろとか全然聞いてないし……。こんな僕が魔物とかと戦うことができるんだろうか。


「とりあえず、お昼ご飯かな」


 部屋で考え事をしていたらいつの間にか結構いい時間になってた。


「今日のお昼はなにかな……と」


 何もしてないのにご飯だけ食べてるのもすごく気が引けるんだけどな……


「あ、ハルキくーん!」


「フィーナさん?」


 部屋から出るとフィーナさんが走ってきた。館内で走ってもいいの? 訓練場とかはともかく。


「学園の行事はどうしたの?」


「昨日終わったよ! 今日は後片付けだけだったからお昼で帰ってこれたんだ! それより見せたいものがあるから、お昼食べたら中庭に集合ね! ハルキ君がアーリア様と魔法の練習をしてた場所だから間違えないでね!」


 待ってるからねー! とまたもや走って行ってしまった。


「なんだろう?」


 見せたいもの? 学園の行事と関係あるのかな? 気になるしさっとお昼を食べて中庭に行こう。

 あ、さすがにこの数日でそうそう迷わなくなったからね?


「おや、ハルキ」


「あ、セントさん」


 食堂へ向かっていると、セントさんが歩てきた。そっか、フィーナさんが戻ってきてるならセントさんも戻ってきてるよな。


「姉さんには会ったかい? 今回学園では別行動だったのだが、どうもはしゃいでいてね」


「あれ? じゃあセントさんもフィーナさんの用事がなんなのかは知らないの? 中庭に呼ばれたんだけど」


「ふむ。ある程度予想はつく部分はあるが、特に聞いてはいないね。ま、何にせよ中庭に行けばわかるだろう。 お昼は食べたのかい?」


「いや、これから。食べたら中庭に行くつもりだったから」


「そうかい。ではご一緒してもいいかい? どうも今は誰とも時間が合わなくてね。姉さんははしゃいでいるし、他の館のメンバーも思い思い動いているようだし」


「喜んで。僕も一人で食べる予定だったしね」


 ということでセントさんとお昼を一緒に食べる。フィーナさんも一緒に食べればよかったのになぁ。ほんと、用事って何だろ。


「セントさん心当たりはあるんでしょ? 教えてくれる?」


「む? ふむ、私が言ってしまうと姉さんが拗ねてしまうかもしれないからね。私から言うのはやめておこう。ま、悪いことではない。それにすぐにわかることだろう?」


「そうだけど……」


 気になるなぁ。いいや、とにかくさっさと食べちゃって中庭に行こう。


「おっと、食べるのが早いね。そこまで気にしてもらえて姉さんも嬉しいだろうね。とはいえ今は私が一緒なのだからそのあたりは考えてほしいものだが?」


「あ、ごめん。そうだよね」


「なんてね。冗談だよ。私のことは構わないから姉さんのところへ行くといい。あとで私も顔を出すがね」


「それだったら一緒に行ったらいいんじゃ?」


 食べ終わっちゃたけど、別に待ってても問題はないんだけど……


「姉さんが何をしようとしているか、おおよそわかっていると言ったろう? ひとつ準備をしてこようと思ってね」


「そう? それじゃあ先に行ってくるね」


「あぁ。姉さんにはあとで私も行くと伝えておいてくれ」


「うん、わかった」


 準備? なにか特別なものが必要なことなんだろうか。僕は正直何が何だかわかんないから、別に何も持ってきてないし、いいのかな。


「なんか問題があったらその時考えよう」


 結局今はなにもわかんないし。


「よし、到着」


 無意識に早足になっていたみたいで結構早くに中庭についた。ここに来るのも久しぶりだなぁ。アーリアさんに魔法を教えてもらった時以来だから二回目か。うん、迷わず来られてよかった。


「フィーナさん、来たよ? あと途中でセントさんに会って、セントさんもここに来るって」


「あ、ハルキ君! 待ってたよー。そしてこれを見て驚くがいい!」


 セントさんのことには反応がなかった。


 フィーナさんが指さした物。それは……


「武器?」


 色々な武器が地面に並べて置いてあった。大きさの違う剣がいくつか。同じく槍がいくつか。斧や……これモーニングスター? あ、鞭とかもある。


「そう! 武器! ハルキ君だって何も持たずに戦うわけにはいかないでしょ? 魔法はアーリア様やセントが君に教えてくれるだろうけど、私は近距離戦闘しかできないようなものだからね。だからいろんな武器を集めてきました!」


「集めてきたって……」


 どこから? 二十くらいあるんだけど、どうやって持ってきたんだろ、これら。


「いやー、学園でダンジョン実習があってね? 勇者候補が勇者候補以外とパーティを組んでダンジョン攻略の速さや、アイテムの収集、魔物の討伐記録なんかを競う小さい大会みたいなものなんだけど。アイテムの収集に重きを置いて、集めるだけ集めてきました! 最近の実習だとアイテムボックスが貸し出されるから助かるんだよね!」


 ……なるほど、アイテムボックスなんてあるんだ。便利だね。


「でも僕は武器なんて使ったことないんだけど……」


「大丈夫! 私がちゃんと教えるから! でもいろいろ持ってみないと何がいいかわかんないと思ってさ。だからいろいろ集めてみたんだ。手に入れられなかったものもあるけど……」


「でも、いいの? 使えるとしてもひとつでしょ? 他の武器は無駄になっちゃうんじゃ」


「あ、その辺は大丈夫だよ。必要のなくなったものは、今回協力してくれたパーティのみんなに引き取ってもらうから。そこで自分たちで使うのもよし、売っちゃうのもよしだから。今回は私の都合で引っ張っちゃったからせめてそのくらいはって思ってね」


 でも楽しかったなー! と元気に笑うフィーナさんは見ているこっちも元気になる何かがあるなぁ。


「そっか。本当にありがとう。僕がちゃんと武器を使えるかわかんないけど、ちょっと試してみるね」


「うんうん! ゆっくりでいいから試してみて!」


 いや、パーティに渡すんだったらあんまりゆっくりしてちゃダメなんじゃ。とにかくまずは持ってみよう。とりあえず一般的だと思う剣を。


「……うん」


 目をきらきらさせているフィーナさんは置いておいて、とりあえずこれはダメだしっくりこない。ロングソードは僕が小さいせいか武器に振られてしまう。ショートソードはちゃんと振れるけど、なんというか、しっくりこないみたいだ。


 次は槍……あれ? これも僕が小さいせいで合わないと思ったけど……うん、いい感じ? なんだろ、武器として振るうのもそうだけど、妙に魔力との親和性が高いような。とりあえず保留して次。


 斧。重すぎる。持てないことはないけど、振れない。同じ理由でモーニングスターもダメ。


 短剣、ナイフ類。うん、懐に忍ばせておくくらいはいいかもしれないけど、そもそも主戦力にはなりそうにない。


 鞭、ここにあるのだとこれが最後かな。振ってみる……攻撃力なさそう。鞭自体が悪いわけじゃなくて、僕の振り方が悪いせいなんだろうけど、へにょんへにょんだ。


「この中だと、この槍かなぁ」


 妙に僕との魔力の親和性が高かった槍である。僕の身長から見たら長くて合わないかもしれないけど、これが一番しっくりきた。

 色は赤黒い感じで、僕の闇との相性もよさそうだ。


「へー、槍かぁ。同じ剣じゃなかったのは残念だけどそれもいいかも。遠距離を魔法で、中距離を槍で。あとはある程度短剣の使い方を覚えればいろいろ対応できそうだね!」


「いや、いきなりそんなにはできないって」


「んー、そうなんだよねぇ。私も学園があるからいつでも教えられるってわけじゃないし。あ、槍自体は私も使えるから安心していいよ!」


 それは安心だけど……魔法もあるからそこまで槍に時間をとれるかな。短剣はどうやっても後回しになりそうだけど。


「それに、私が魔法を教える時間も考えてほしいものだね?」


「あ、セントさん」


 いつの間にかセントさんも来ていた。全然気づかなかった。


「えー。魔法よりも近距離戦闘大事でしょー?」


「いや、どちらのほうがいいとは言えないだろうに。ま、まずは槍のほうでいいのかもしれないがね。ハルキ君の魔法の改良が進んでいるようであれば魔法の方を優先したかったが、詰まっているようであるなら、別のことをやってみるのもいいだろう」


「だって! それじゃさっそく教えていくから覚悟しててね! お昼は済ましてあるわけだし、しばらくはできるよね!」


「えっと、お願いします?」


 僕の意見はどうなってるんだろうか……あと、他の武器は片づけなくていいの? そう言おうと思っていたけど、楽しそうにしているフィーナさんを見ているととても言えなかった。特別部活なんかをやっていたわけでもない僕が果たしてまともに動けるだろうか、すごく心配だ……。


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