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第九十六話~お、お姉ちゃーん。起きてー。~
「うぅ……お化け怖いお化け怖い……。」
テレビのホラー番組が終わったあとから優香はずっとカタカタ震えていた。
確かに怖かったけどそこまで怖がるなんて……。
「ほんとにお前らああいうの苦手なんだな。」
少しにやけている兄さんが言った。
……正直な話ちょっときもい。
でも、
「兄さんって怖いものとかある?」
「ん?うーん……怖いことなら嫌われることかな。主にお前ら2人に。」
「そ、そうなんだ。アハハ……。」
ぶれないなぁ、と思いつつも少し嬉しい自分がいた。
「お、お姉ちゃーん。起きてー。」
「う、うーん。どうしたの優香?……もう朝なの?」
窓の方に目をやるとあたりはまだ暗いようだった。
「そ、そうじゃなくて!トイレに行きたいんだけど……その怖くて。」
優香はまだプルプル震えている。
そこまで苦手なら見なければいいのに。
興味本位で見たい気持ちはわかるけども。
でも、流石にひとりで行かせるのは可哀想だ
「わかったよ。」
「ありがとう!お姉ちゃん!」
そう言って優香は安堵の表情を浮かべていた。