第七十六話~二時間近く寝てたぞ。~
「どこだここは……………………。」
僕の目の前には、見たことない洋服屋がある。
…………車で来たのは確かなんだけど…………二時間もかかったから、ここがどこだかわからないよ…………。
「…………美優さん、何故こんな遠くに?」
「気分だよ~。なんとなく、ここに来たかったから。」
…………そんな理由で僕たちはこんな遠くまで…………美優さんが運転するから別にいいんだけど。
「とりあえず入ろっか。」
そう言って、僕たちは店の中に入った。
あれから一時間、僕と唯ちゃんと兄さんは車の中にいた。
兄さんは本を読んでいる。
…………鞄にさ本が常時入ってるのかな?
「優衣ー、暇だね。」
「そうだね…………四人とも遅いし。」
「もう一度入るのも嫌だしなぁ~…………そうだ、優衣のメアドとかなんにも知らないから、交換しよ。」
「うん。」
僕たちはそれぞれスマホを手にとって、メアドを交換した。
あれから僕たちは寝てしまったようで、目が覚めたのは車が動き始めてからのことだった。
「…………ふぁ~…………おはよう優香。」
横にいた優香に僕は言った。
「…………」
返事はない。
優香の顔を覗き込むと…………優香は寝ていた。
「優衣、昼飯今から食べに行くらしいぞ。」
「…………今何時?」
「1時…………二時間近く寝てたぞ。」
そう言って兄さんは本を読むのを再開した。
…………その二時間近くの間に兄さんは何冊本を読んだんだろうか?
僕はそう思いながらもう一度目を閉じた。