第六十六話~…………紹介もなにもしてなかった。~
「それなら、口調をもうちょい直した方がいいんじゃないか?」
兄さんは唯さんに提案した。
「…………そういえば、あんたいったい誰なんだ?あとそっちの子も。」
…………紹介もなにもしてなかった。
「俺は桐崎勇樹で、こっちは桐崎優香。優衣と優香は双子。あと、俺はこいつらより2つ上。」
「…………優衣の兄さんと、優衣の…………姉?妹?」
「妹だよ。」
「宜しくね、唯ちゃんっ!!」
「うん、よろしく。」
兄さんたちの紹介が終わったところで僕は全く別の話をし始めた。
大事なことだけどね。
「唯さん。」
「唯でいいよ。」
「…………それじゃあ、唯ちゃん。」
「…………まぁ、それでもいいか。」
「この事は他の人には言う?」
「…………言わない。」
「…………クラスメートで、信用できる人たちがいるんだけど…………それでも嫌かな?」
僕がそう言うと、唯ちゃんは少し首を捻った。
…………そして、数秒後。
「…………その人たちは、優衣の事を知ってる?」
「うん。みんな知ってるよ…………昔からの友達で、信用できる人たちだから。」
「…………それじゃあ、その人たちには言う。」
唯ちゃんはそう言ってから立ち上がった。
「学校の用意してくるよ。」
唯ちゃんがそう言ったので、僕は時計を見た。
「…………僕たちもそろそろ帰らないと。」
「そうだな…………それより唯、口調直しとけよ。」
「はーい。」
兄さんは唯ちゃんに言った。
「唯ちゃん、明日は初登校だし、一緒にいかない?」
「…………俺…………私はそれでいいよ。咲は?」
「一緒に行くよ。姉さんだけじゃ頼りないし。」
「…………何時にいけばいい?」
「うーん…………八時前くらいかな。」
「分かった。それじゃあ、また明日。」
「「「お邪魔しましたー。」」」
僕たちは不知火さんの家を出た。
明日は不知火姉妹と一緒に登校することになった。