第六十三話~…………姉?~
僕が知っていると言うと不知火さんは言った。
「実はあそこの席は…………私の姉の席なんです。」
「…………姉?」
「はい…………でも、姉は…………数週間前までは男だったんです。朝起きたら、女になってしまったらしくて。」
僕はそれを聞いて、唖然とした。
僕の家系だけの話じゃなかった、と驚いてしまったからだ。
唖然とした僕を見て、不知火さんは言った。
「…………すいません。いきなり可笑しなこと言っちゃって…………。」
「…………そのお姉さんは今家にいるの?」
「えっ…………はい、部屋にいます。」
「じゃあ、今日は不知火さんの家に行ってもいいかな? 不知火さんとももっと話したいし、お姉さんとも話してみたいから。」
「信じてくれるんですか!!」
「…………信じる信じないは、不知火さんの家で決めることにするよ。」
「はいっ!!」
不知火さんはそう言って、さっきとは比べ物にならないほど明るい顔になった。
まぁ、信じてるんだけど、あってみたいからね。
「じゃあ、俺も行っていいか?」
そう言って後ろから兄さんがきた。
「…………兄さんいつから聞いてたの?」
「最初からだけど。」
「…………じゃあ、勇樹さんは信じますか?」
「目の前で起こればなんでも信じるよ。逆に話だけでは信じないけど。」
兄さんはそう言ったあとに小声で、「まぁ、目の前で起こったから信じるけど。」と言った。
不知火さんには…………聞こえていないようだ。