第六十二話~あの…………優衣さん。~
僕たちが玄関まで行くと、兄さんと葵さんがいた。
「兄さーんっ。」
「おっ、来た来た…………その子は?」
「同じクラスの、不知火さん。」
「はじめまして、不知火咲と言います。」
「俺は桐崎勇樹、でこっちのちっこいのは藤崎葵。」
兄さんは葵さんの頭に手をのせて言った。
「ちっこいとか言うな!!…………それより、宜しくね咲ちゃん。」
「はい。」
不知火さんは笑顔でそう言った。
僕たちはそれから屋上でお昼を食べた。
この学校の屋上は、昼休みにだけ使えるようにしているらしい。
「あの…………優衣さん。」
「どうしたの、不知火さん?」
「少し二人だけでお話ししたいことがあるんですけど…………いいですか?」
「うん、いいよ。」
そう言ってみんなから少し離れた。
「それで、話したいことって言うのは?」
「…………優衣さんは、男の子が朝起きたら女の子になっていた…………って言う話があれば信じますか?」
真剣な顔で不知火さんは言った。
…………信じるもなにも僕がそうなんですけど。
僕がそう思いながら、少し黙っていると不知火さんは慌てて言った。
「あっ、す、すいません。変なこといっちゃって…………。」
「信じるよ。」
「えっ…………本当ですか?」
「うん。本当だよ。」
「じゃあ…………今クラスの席でひとつ空いている席があるのはご存じですか?」
「…………あっ、確かにひとつ空いてた!!」
特に気にしていなかったことだ。
でも、それがどうしたのだろうか?
僕にはなんのことかわからなかった。
すいません、風邪を引いてしまったので昨日は更新をお休みしてしまいました。
明日はたぶんできると思います。