第四十七話~やりたくてやってることですし。~
「じゃあ、優衣、優香、ハンバーグ焼いていくよっ!!」
「はーいっ!!」
静香さんと優香はすごくテンションが高い。
楽しそうだから僕はなにも言わないけど、第三者から見たら、すごく不思議な光景だと思う。
だって、ハンバーグ焼くだけでこのテンションだしね。
僕は二人を黙ってみていた。
「これぐらいでいいかな?」
「優衣、お皿持ってきてー。」
「はーい。」
僕は立ち上がって、食器棚の方に歩いていく。
えーっと…………六枚あればいいんだよね。
僕は六枚お皿をとって、静香さん達のいる方へ持っていく。
「静香さん、お皿ここにおくね。」
「ありがとうっ!!あっ、後ハンバーグのせたら、そのお皿机まで持っていって。」
「分かったー。」
僕は言われた通り、ハンバーグののったお皿を机まで運んだ。
「ふぅー、生き返ったぁ。」
「兄さん、母さんたち何時ぐらいに帰ってくるかわかる?」
「後二時間ぐらいすれば帰ってくると思うけど、先に晩飯食っておいてくれ、って。」
今から二時間となると、9時前になる。
なのでそう兄さんに言ったのだろう。
「じゃあ、食べますか。」
兄さんがそう言って、椅子に座った。
「ご馳走様でしたーっ!!」
「ご馳走さまでした。」
僕と優香は、食器をもって、兄さんの方に持っていく。
皿洗いを今兄さんがしているからだ。
兄さんが皿洗いをするのは、よくあることで、僕たちより早く食べ終わったときは、必ず皿洗いをしている。
「ご馳走さまでしたー。」
静香さんも食器をこちらに持ってきた。
「勇樹、代わりにやろうか?」
「大丈夫ですよ。やりたくてやってることですし。」
兄さんはいつもこういう。
代わりにやろうか、と聞くと絶対にと言っていいほど、こう返してくる。
多分本心だと思うし、みんな兄さんには、それ以上なにも言わない。
…………それにしても、こんなによくできた兄をもって僕達は幸福者だよ。