第四十三話~じゃあ、お言葉に甘えて。~
あれから僕達はソファに座ってゆっくり話をしていた。
僕の横には優香と静香さんが、前には端から兄さん、葵さん、茜の順番で座っている。
そして、葵さんは兄さんの腕をしっかり抱き締めている。
…………兄さんはなんとも思ってないのかな?
「勇樹、葵ちゃんが抱きついてても、気にならないの?」
僕が思っていたことを静香さんが聞いた。
「えっ…………別になんとも思わないですけど。これが普通だと思ってますし。」
…………普通なのかな?
僕はそれが普通だとは思わないけど。
「…………勇樹と葵ちゃんは友達なのよね?」
「そうですよ。」
「それ以上の関係ではないのよね?」
「それ以上の関係?」
兄さんはそう言って考え始めた。
多分、『それ以上の関係』ということがどういう意味か、わからないんだと思う。
「多分違うと思いますよ。そうだよな、葵?」
「えっ…………うん…………。」
葵さんは俯いた。
なんか複雑だなぁ。
空気も重くなったような気もするし。
なんとかこの状況を変えないと!!
「葵さんと茜はお昼はどうしますか?」
「お昼は帰ってなにか作るつもりですけど。」
「じゃあ、一緒に食べようよ。」
「でも、迷惑なんじゃ…………。」
「大丈夫だよ。それに大勢で食べた方が美味しいしね。」
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
僕達は一緒に昼食を食べることにした。