第三十一話~どこかで聞いたような?~
「兄さん、アイス買いすぎ…………」
「そうか?」
なんでアイスだけで千円以上してるんだよ…………
もしかして、僕がアイス買おうなんていったからなの?
…………でも、僕が買ったのは100円にも満たないアイスひとつだよ?
それなのに、そんなに買う必要あるのかな…………
「勇樹ー」
僕たちがとぼとぼ歩いていると、後ろから女の人が、兄さんの名前を呼んだ。
「葵…………か。はぁ」
ため息をつきながら兄さんが言う。
葵…………どこかで聞いたような?
「なんで、そんなに落ち込むの?この美少女、葵ちゃんになにか不満でも?」
「兄さん、この人誰?」
こそっと兄さんに言う。
「藤崎 葵…………お前の友達の茜ちゃんの姉だよ」
…………姉?
とんでもなく小さいんですけど?
僕より小さいよ。
多分…………茜と同じくらい。
「私無視して、なにこそこそ話してるの?…………もしかして彼女!?」
「違うよ。妹だ」
「妹…………もしかして、優香ちゃん!」
違うよ、葵さん。
……茜にはもう言ってあるし、別に言っても…………
「…………兄さん、あの事別に言ってもいいよね?」
「?…………お前がいいなら、言えばいいんじゃねえのか?」
「なになに?何かあるの?」
葵さんはこちらに顔を近づけてきた。
「えーっと…………僕は優香じゃなく、優衣って言います!」
「優衣ちゃんって言うんだ…………年は?」
「15です」
「15で髪染めちゃダメだよー…………あれ? 勇樹の妹は茜と同い年の優香ちゃんだけで、弟さん…………勇翔くんがいるって聞いてたんだけど…………」
「勇翔は僕です…………わけあってこの体で過ごしています」
「へぇーそうなんだ…………って、えぇぇぇぇ!?」
すごく驚いてるね…………でもこれは事実なんですよ。
「あとこの髪は地毛です」
「そうなんだ…………日本人なのに、地毛が金髪…………こういう人って他にいるのかな?」
「多分いると思います」
少なくともお祖母ちゃんと叔母さんはそうだろうし。
「…………あっ!優衣早く帰るぞ!」
「えっ、どうしたの兄さん!」
「アイスが溶けちまう!」
僕は腕を引っ張られる。
「悪い、明日なら俺も家でいるから、暇なら妹つれてこいよ!じゃあな!」
「ちょっと兄さん!…………葵さんさようならっ!」
僕は兄さんに腕を捕まれて、家まで走っていった。
更新遅れてすいません。
明日も更新できると思います。