第二十七話~朝から僕は何も…………~
僕が目覚めたのは7時ごろのことだった。
横を見てみると、抱き合って寝ている優香と兄さんの姿が目に入った。
…………って、何この状況無茶苦茶気まずいんだけど。
見てはならないものを見てしまったような気分だ。
…………良しここは、見なかったことにしよう。
それがいい。
さっさと顔でも洗って、この事は忘れよう。
僕は部屋を出て洗面所へと向かった。
「朝から僕は何も…………見てない」
顔を拭きながら、自分に言い聞かせた。
あのまま優香が先に起きたら、兄さんは一体…………
って、それなら兄さんと優香を離れさせなきゃ!
僕は急いで部屋に戻った。
音をたてずにゆっくりと僕は部屋に入った。
どうやら、どちらもまだ寝ているようだ。
今のうちに二人を引き離さないと。
僕は手が上にある兄さんを引っ張った。
見事に兄さんと優香を引き離した。
が、重みで僕はそのまま兄さんに抱き締められる。
脱出を試みる…………が動けない。
どうしよう…………これって、兄さん起こせばいいだけじゃないのかな?
「兄さん起きてー」
耳元でできるだけ声を押さえて言う。
すると、兄さんは僕を放して起き上がった。
「おはよう兄さん」
「おはよう…………」
そう言ってから、兄さんは部屋を出ていった。