第十三話~女装じゃないんだけど~
「あの…………由紀?」
「何?」
「これ…………女装じゃないんだけど…………」
「何馬鹿なこと言ってるの…………」
そう言って、由紀は溜め息をついた。
本当に女装と思われてるみたいだ。
僕にはそんな趣味ないのに…………どうしよう…………
「優衣ちゃん、ちょっとごめんね」
そう言って優香は僕のワンピースをめくって…………
「って何するんだよ!」
僕は後ろに逃げた。
「何って…………由紀ちゃんに証拠を見せようと思って」
証拠?
いったいどういう意味なんだろう?
僕にはさっぱりわからなかった。
「だから、下着脱いで」
下着?
「…………優香、さすがにそれはやめて。私はそんなのみたくないから」
見たくない?
…………そういうことか。
いや、確かにそれでわかるよ。
わかるんだけど、僕も由紀に見せるのは嫌だ。
でも、それ以外には…………そうだ!
この髪が地毛だということ、由紀に言えば!
「由紀、この髪ヅラだとおもう?」
「ヅラでしょ?」
「じゃあさ、この髪引っ張ってみて」
「うん……いくよ」
「……痛っ!」
「…………ヅラじゃ…………ないの?」
「うん…………僕、女の子になっちゃった」
「そうなんだ。学校は一緒だよね?」
…………まさかのノーリアクション。
逆に僕が驚くよ。
…………女の子になるのって普通なのか?
「ねぇ、勇翔ってばっ!!」
「え…………一緒だよ。後、僕今は優衣って言う名前だから」
「分かった…………で、今日は優衣の服を買いに行くの?」
「うん。優衣ちゃん、服ないから」
「おばさんは?」
「一緒にいくよ…………あと今日はお兄ちゃんもついて来るから」
「えっ、勇樹先輩も……」
そう言って顔を赤らめる由紀。
確か、兄さんのこと好きだとかなんとかいってたっけ。
特に興味はないんだけどね。
由紀がどうとかっていうよりかは、恋愛に全く興味がないだけ。
「そろそろ下に降りよ♪」
そう言って優香は先にいってしまった。
僕も下にいこうと立ち上がった。
「ねぇ、勇翔」
「何?」
「悩みがあるときは、一人で抱え込まないで、私に相談してね」
そう言って由紀はにっこり微笑んだ。
明日も更新できそうです!