第十話~正直知らなかった~
「優衣ちゃん、起きてー!」
「…………あれ?…………ゆうか?…………僕らの部屋になんでいるの?」
「優衣ちゃん…………ここ私の部屋だよ?」
あれ?…………あっ!
昨日から優香の部屋で寝ることになってたんだ!
「ごめん、寝ぼけてた」
「…………って、優衣ちゃんもう九時だよ!」
「へ?…………それがどうしたの?」
いつも、休みの日は九時ぐらいまで寝るのが普通なんだけど、何かあったっけ?
「今日は買い物とか、色々いかなきゃならないところがあるんだよ!」
「それはわかってるけど…………昼からいくんじゃ……」
「午前中にいくよ!」
…………なんだってー!!
そんなこと母さんは言って…………たかもしれない。
僕は人の話を時々聞いていないときがあるからね。
聞いてなかった可能性が…………高い。
「早く起きて顔洗ってきて! 朝御飯はお母さんが今作ってると思うから!」
そう言って、僕は優香に洗面所へ連れていかれた。
「「「「いただきまーす」」」」
僕たち四人は朝御飯を食べ始めた。
父さんは朝早くから仕事で、家にはもういない。
「…………そういえば、お兄ちゃんも今日は一緒に買い物いくの?」
「ああ…………暇だからな」
「暇って…………彼女の一人や二人いるでしょ?」
優香が兄さんを見て言った。
それは僕も思う。
兄さんは、いろんな意味でかっこいいと思う。
優しいし、文句のつけるところがない。
「いねぇよ。告白とかされるけど、基本断るし」
…………なんてやつだ。
こんなこと、他の男たちが聞いたら、怒るだろうな。
「なんで、断るの?」
「…………お前たち以上に可愛いと思うやつがいないか、かな…………ごちそうさまでした」
…………は?
ちょっと待った、今この人目の前で、しかも冷静な面持ちで、自分はシスコンだと宣言したよ?
…………正直知らなかった。
兄さんがシスコンだったなんて。
…………でも、可愛いな、可愛いな、と普段からいってる訳じゃないから、僕は気にしないけど。
僕がそんなことを考えていると、兄さんは部屋に戻っていった。
僕たちは、朝御飯を食べ終わり、部屋で着替えようとしていた。
「…………お兄ちゃん、いつも態度が同じだから、全く気づかなかったよ」
「そうだね。あの時は…………ちょっと衝撃受けたよ」
ほんとはちょっとどころじゃ、ないんだけどね。
「まぁ、普通にしていてくれれば別になんとも思わないけど…………優衣ちゃん、服脱いで」
「うん…………ちょっと待った、今なんて言った?」
「服脱いで」
「…………なんで?」
「一人で着替えられるの?」
「…………無理です」
「じゃあ、さっさと脱ぐ」
「はい…………」
僕は渋々服を脱いで、下着と優香の服を着た。
今日はもう一度更新できればしたいと思いまーす。