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CANAAN ~創造主たちの約束の地~  作者: 冬華白輝
滅びる世界の章
47/49

思い出す


 2人はきちんと整備された森の中の道を進む。


「ここは理知(りち)の森というのよ」


「理知の森・・・(ことわり)を知る森か」


「そう。“約束の地”の中でも一番重要な・・・創製神(お母様)の本体がある場所よ」


「――へぇ・・・そうなんだ・・・」


 リキューラは辺りを見回す。


「私達一族も、この理知の森で生まれたのよ」


「ああ・・・そっか・・・“俺達の本体”もここにあるのか・・・」


「そう言うコト。うん、理解が早くて大変結構だわ。・・・“約束の地”に来たから、封印が緩んでいるのかしら」


 サントゥーラが嬉しそうに笑うので、リキューラは照れ臭そうにしてそっぽを向いた。


「なんとなく、覚えてるんだよ・・・たぶんだけど・・・」


「ふぅん、なるほどねー・・・あ、見えてきたわよ」


 サントゥーラの指さす方を向けば、フォルスト王国のウィンドラー城よりもずっと立派な城が森の中にドン、と建っていた。


「・・・でっか」


「ま、そうよねー、収容人数を考えても、でっかいわよねー。あはは」


「笑い事じゃないし・・・」


 ケラケラと笑うサントゥーラに小さくツッコミを入れつつ、リキューラはその城を見上げる。


「―――サラ、リキュ、お帰り」


「うわぁっ!?」


 呆けていたつもりはなかったが、いつの間にか真横にいた金髪の青年に声をかけられ、リキューラははその場からとびのく。


「うわぁって・・・ちょっと傷つくなぁ・・・」


「あ・・・す、すみません・・・」


 困ったように笑う青年の顔の左、眉の下辺りから頬の真ん中まではしる傷にリキューラの視線がくぎづけになる。


「―――気になる?」


「いえ、あの・・・痛くない、ですか?」


「今は全然。・・・それに、創造主の器の傷は本体に影響していないと“わかっている”だろう?リキュ」


 クツリと笑う青年が本能的に格上だとわかってしまったリキューラは、思わず一歩後ろに引いてしまう。


「・・・お兄様、あんまりリキュをいじめないでよ」


 見かねたサントゥーラが口をはさむと、青年はフッと目元を緩めた。


「いじめてるわけじゃないよ。ただ、姉さんにそっくりに育ったなァって思ってさ。・・・ああ、そうだね、ワケがわからないね?」


 青年はそう言って、リキューラに大股一歩で近付き、その頭に手を乗せる。


「―――っ、あ!!」


 ドッと流れ込んでくる記憶は、生まれたその瞬間から身につけていた創造主としての記憶。


 コクマ家に連れて行かれた時、自分は既に5つになっていて―――赤子の姿ではなかった。


 それもこれも全部、目の前の人と、自分の母の―――。


「思い出した?」


「はい・・・カナン、叔父上・・・」




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