表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/49

ジュノー降臨

「ぐっ・・・なんだ、これはッ!」


苦しそうにうめくオーガスに、光をまとったリィアは目を細めた。


「ここは、カナン様の治める地・・・カナン様の力の方が有利に働くのは当然のこと」


「これが・・・カナン様の力だというのか!」


混じりっ気のない純粋な光の力、これは創造主が持ち得ない力だ。


だが、僕はそのために闇の力を他の人間ラームに託すことで可能にした。


「暗黒魔術師の最大の弱点、それが光。・・・ジュノー様の現在の力の質を考えれば、光の術で対抗しなければならないことはわかりきっていました。・・・カナン様はそのための準備を怠らなかった。それだけです」


リィアの言う通りだ。


僕はジュノーを止めるために様々な準備をしてきた。その時点では予測できない行動すらも念頭に入れて、何度もシミュレートしてきたのだ。


「・・・おのれ・・・おのれぇッ!!」


オーガスの身体がボロボロと崩れていく。純粋な光の力をその身に受けて浄化されているのだ。


その時だった。





「・・・ふぅん・・・あの子ったら、随分と無茶したようねぇ?」


空間が歪む音がして、光を放つリィアの前に降り立つ女。


「ジュノー様!!」


オーガスの歓喜の声をあげ、フィラルとリィアが目を瞠る。ジュノーの姿を見たのはこれが初めてだからだろう。


「オーガス、残念だわ・・・お前はとても良い駒だったのに」


その黄色の瞳を細めて呟く。


「じゅ、ジュノー様!お、お助け下さい!!このままでは・・・!」


「ん~とぉ・・・無理。今のアタシは闇の力の比重が大きいから」


闇の力で補強してやっても純粋な光の力には太刀打ちできない。ジュノーに笑顔でそう告げられて、オーガスは絶望した表情をうかべ―――完全に浄化された。


「・・・ご自分の眷族を・・・」


「眷族?違うわ・・・下僕よ」


フィラルの呟きに反応してジュノーはクスリと笑う。


完全に闇の力に呑まれ、暗黒面が前面に出てきてしまっている。もう、一刻の猶予もない。


仮にも元創製神候補として生れたジュノーを滅ぼすには大きな力が必要となる。だが、止めるだけなら今の弱った僕にでもできる。


そのための準備だ。


「・・・アリス、ゼノン・・・ここは任せたよ?」


「・・・わかったよ、父さん」


「お気をつけて」


2人に見送られて、僕はジュノーの元へと転移する。


「・・・風よ、彼の地へ我を運べ」


意識が遠のき足に土の感触が伝わるのと同時に、凄まじい闇の力が肌を刺激した。







「・・・久しぶりだ、ジュノー」


「そうねぇ・・・ふふっ、少しは男らしくなったじゃない。似合うわよ、その傷。・・・それがアタシを倒すために得た力の代償ってわけね?」


「まあね・・・」


そう答えて僕はフィラルとリィアに視線を向ける。


「フィラル、リィア・・・下がって」


「はい」


「わかりました」


緊張した面持ちで頷いて2人が下がるのを確認した僕は、改めてジュノーと向き合った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ