デフェンダコローノ(守護の柱)
ゼノンの作戦通り、僕は『メーゾ』の東西南北四方に守護の柱“デフェンダコローノ”を建てた。
ジュノーを釣るためのものとはいえ、本当に守護の力が発動していなければさすがに気付かれるだろうということで、今の状態でも創り出せる最高レベルのものだ。
「父さんって・・・今までも規格外って言われてたみたいだけど・・・こんなに力を削がれててもあれだけのものを創れるなんて・・・ホント、規格外も規格外、創製神レベルだよね」
「創製神だなんて怖れ多すぎるよ・・・創造主は創製神の力を引き継ぐ者ではあるけれど、創製神の加護がある“世界”でしか力を発することができないんだ。だから、他の創製神が支配する“世界”では無力に等しい」
「それは知ってるけど・・・でも、その中でも父さんって規格外なんだろ?姉さんに聞いた」
「うぁ、アリスが言ったの?」
それでは信憑性が増すわけだ。
確かに、僕は最初から創製神候補の創造主として作られたわけでもないのにやたらと力が強かった。
不思議に思って母に聞いてみたところ、それは創製神達のさらに上の“存在(僕にとっては既知の関係性で言えば祖父にあたる)”の祝福があったのではないかとのことだった。
生まれて間もない頃の力の暴走も、暗黒期に入ったときに自我を保てたのも、すべてはその祝福に因るものではないのかというのが僕の結論だ。
「・・・父さんが規格外じゃなかったらって思ったら、ゾッとする」
ボソリ、と呟いたゼノンに僕は視線を落とす。
僕が規格外じゃなかったら・・・おそらく、今頃は消滅していることだろう。
そうなればジュノーは『メーゾ』から飛び出して『神界』や『魔界』を手に入れ、果ては母さんのいる『約束の地』に行き、暴れ回っていたはずだ。
まさかとは思うが、そこまでを想定して僕に祝福を与えたのではないかとうがった考え方までしてしまう。
「まぁ、それはともかく、ジュノーは来るかな?」
「来るさ。噂の発生元も割り出せないように工夫したし」
「・・・そうか」
とすれば、まずは暗黒魔術師を放ってくると考えて良いだろう。それで歯が立たないと知ればジュノー自身がやって来る。
近付いてきた決着の時に、僕は憂鬱な気持ちになったのだった。




