消耗する世界
パチリと目を開け僕は辺りを見渡す。
寝ているのは自分のベッドであることを確認し、ホッと息をついた。
「お父様、大丈夫ですか?」
ひた、と冷たい濡れタオルが額にあてられ、僕はアリシアに視線を向ける。
「・・・熱じゃないんだけど」
「存じてます。でも、気持ちいいでしょう?」
「まぁ、気持ちいいけど。・・・はぁ。やれやれ、とうとう反動が来たか」
起き上がると、まだクラクラとする頭を押さえる。
「・・・どういうことだよ」
部屋の隅にいてこちらを睨みながら不機嫌な声をあげるゼノンに、アリシアは眉根を寄せる。
「ゼノン、お父様になんて態度を」
「良いよ、アリス。・・・ゼノン、この世界は急ごしらえの未完成の世界だってわかってるね?」
僕はアリシアを宥め、ゼノンに問いかける。
「・・・知ってる」
「だから、僕と未だに繋がっている。・・・未完成の世界は消耗するからね」
「!・・・じゃあ、この世界のダメージはみんな?」
「そう、僕に跳ね返ってくる。・・・ジュノーはそれを知っているから、この世界を荒らすことで僕に攻撃を加えている、というわけだ」
その言葉に、アリシアは何とも言えないような表情を浮かべ、ゼノンは息を呑んだ。
「・・・じゃあ、早く、ジュノーを捕まえなきゃ、父さんが!」
「・・・わかってる。だから、探させているだろう?」
言い募るゼノンに、僕は溜息をつく。
「・・・俺も!」
「関わるな、と言った筈だ」
「・・・でもっ、俺だって・・・。俺だって、父さんや姉さんの役に立ちたいんだ」
最後は消え入るように呟いたゼノンを見て、僕とアリシアは視線を合わせる。
「・・・しょうがないなァ・・・」
僕も大概、子どもに甘い。
自覚してないけど、僕って親バカ?
アリシアは僕の方がしょうがない。と言いたそうな表情をうかべているが、とりあえず意識の外に措いておく。
「・・・仕事あげるから、頑張っておいで」
「!・・・ああ!頑張るよ!父さん!!」
満面の笑みをうかべたゼノンを見て、ほんの少し体調が良くなった気がしたんだから、やっぱり親バカなのかもしれない。




