表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/49

閃光の鉄槌


「退け、アリス!」


アリシアの愛称を呼ぶアレス。一瞬、アリシアの表情が曇った。アレスが正気に戻ったように、錯覚したのだろう。


「覚悟をしてね、アレス。・・・私は、カナン様(お父様)をお守りすることが第一なのです」


許しを請い、アリシアは呪を口にする。


「・・・光よ集え・・・闇に魅入られし哀れなる魂に、閃光の鉄槌を!」


アリシアだけに許された光の精霊を使役した術“閃光の鉄槌”その威力は、ベストコンディションの時の僕でさえ、防ぎきれるかどうかといったところだ。


母がそんな能力をアリシアに授けたと知った時は愕然としたものだ。


「・・・!?」


アレスは虚ろな目を見開いて驚く。


まさか、アリシアが創造主一族ですら滅ぼしてしまうような術を放ってくるとは思いもしなかったのだろう。


どこかでこの様子を窺っているジュノーも驚いているはずだ。


光がアレスを包む。逃げられはしない。


「!!!!!」


アレスは声にならない悲鳴をあげ、がくりとその場にひざをつき倒れ伏した。


「・・・アレ、ス。・・・ごめ、なさい・・・」


アリシアが声をつまらせ、その様子から視線を逸らす。


「・・・父上・・・アリス」


「「!!」」


アレスから発せられた声に、僕とアリシアはバッとアレスに顔を向けた。


「・・・申し訳ございません・・・父上」


「アレス・・・正気に、もどったのか・・・」


グッと込み上げる思いを飲み込み、僕はアレスの傍に寄る。


「・・・暗黒、魔術師、オーガスという者に・・・目を見られた瞬間、このような・・・」


「・・・暗黒魔術師?・・・ジュノーの手の者か?」


コクリ、と頷くアレスの手を握る。


「意識が、遠のいて・・・気がついた時には・・・あなたを・・・申し訳・・・」


「謝らなくていい・・・」


ゆるゆると、アレスの手がアリシアに伸ばされる。


「・・・このようなこと、君にさせて・・・アリス・・・すまない・・・」


「いいえ、アレス。・・・私は姉としてするべきことをしたまでよ」


アリシアは愛しむように、アレスの頬を撫ぜる。


「父上・・・暗黒魔術師は光を嫌います。・・・ヤツは、人の、心の闇につけいるのです」


最後の力を振り絞り、敵の情報を僕達に伝えようとするアレス。身も心もボロボロの筈なのに。


「アレス・・・」


「・・・もっと・・・父上のお役に、たちたかった」


ぱたり。


アレスの腕から力が抜ける。うっすらと開いていた瞼も閉じられる。


「・・・っ、アレス!アレス!!」


ガクガクとアリシアがアレスの体を揺らす。だが、全身から力が抜けている為に、くたりとするだけ。


「・・・いや・・・いやぁあああっ!」


アリシアの口から、悲鳴がほとばしる。


「アリシア!」


「お父様!いやっ!・・・アレスを、私っ、アレスを!!」


「・・・大丈夫。創製神(母上)がちゃんと再生してくれる。・・・だから、今は・・・安心してお休み」


ショックの為に混乱して僕にしがみつき、悲鳴のような声をあげるアリシアの額に掌をあてる。


ゆっくりとアリシアの体から力が抜けていく。


「・・・おとう・・・さま」


かくん、とアリシアの体から力が抜ける。その体を支えながら、僕はグッと手を握り締めた。


自身の掌に爪が食い込んで、血が流れ落ちる。


「・・・許さないぞ・・・ジュノー・・・」


怒りで震える声で、呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ